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【ウエストのおんな~赤とんぼと秋の黄昏刻~第1話】<大人の階段のぼる~♬>

『馬肥ゆる、住子も肥ゆる秋の空』

サラリと川柳を詠んでみたくなる今日この頃。

私はアラフィフパート主婦の海近住子(うみちかすみこ)、西彼在住である。

 

なになに??

なんなの??

 

9月に入って急に寒くなってオロオロしたかと思えば、ムンムン蒸し暑くてのたうち回ったり。

『暑い』と『寒い』に振り回されて、毎日『今日は暑いんか?寒いんか?』と窓を開けたり閉めたり気温チェックに忙しい。

しかし世の中に広まる『秋が来ましたよ~』のアピールはしっかりと感じている。

 

コンビニのスイーツコーナーが秋バージョンになり、芋やら栗やら魅惑の言葉に踊らされてザワつく気持ちを抑えられず、気が付いた時にはお会計を済ませている。

 

はああっ! いつのまに~~!!

そのあたりの記憶がないので

 

私は一瞬、記憶喪失になるらしい。

きっと 世のスイーツ女子はあちらこちらのコンビニで一瞬、記憶喪失に陥り

 

「いつのまに~~!!」

 

と、秋バージョンのスイーツ片手に雄たけびをあげているに違いない・・・。

おお~~!あぶないあぶない!

 

でもまぁ9月だし、暦の上ではどっぷり秋真っ只中なのだ。

 

 

そんなこんなで、せっかく8月30日に夢のエアコンを自分の部屋に設置した次男は『なんだかな~』のビミョ~な感じで過ごしている。

予定ではまだまだ残暑厳しく、9月であろうが秋であろうがうだる暑さの中、エアコンの冷房でガンガンに6畳の彼の城を冷やすはずであった。

 

残暑のいらだちから解放され、エアコンの吹き出し口からさやさやと流れる冷風に身を任せ、心穏やかにスマホゲームに全神経を集中するはずであった。

 

なのに蒸し暑かったり、雨降ったり、雷鳴ったり、肌寒かったり。

 

はたまたカンカン照りにウンザリしたり。

 

天候がどうも一定しないため、彼の予定が台無し。

ガツンと冷房三昧が出来ないビミョ~な感じで彼も困惑気味である。

 

「もしかして エアコン買うの来年まで我慢しとってよかったかも?」

的な心の波がザブンザブンと打ち寄せているのが感じられる。

 

そうね、もうちょっと早く決心して夏が始まる前にジャパネットさんに注文してエアコンゲットしとくべきだったわね。

 

そうしたら真夏の灼熱の6畳が、一気に居心地のいいオアシスになっていたはず。

 

彼は、また大人への階段を一歩登った。

 

男たるもの、バシっ!と決断する時はしないとダメだ。

 

そういえば、大のお得意様の我が家へうわさの『ジャパネットたかた』から新しいカタログ【秋号】が送られて来た。

 

どれどれ大のお得意様の私がどんな商品が載ってるのかチェックしてみよう。

【秋号】って、何?カニとか載ってんの??

ふんふふんふふん ♪

 

・・・・・・・・・・・・・・・。

 

はああああああああっ!

 

 

 

エ、エアコンのコーナーがある・・・

 

 

はああああああああっ!

 

 

 

お、お安いのがある・・・

ていうか、いいグレードのエアコンが彼が妥協して選んだエアコンと同じお値段で出ている・・・

ていうか、彼が買おうとしていたが、売り切れで買えなかったエアコンが出ている・・・

 

おいおいおいおいっ! これはいくらなんでも彼がかわいそうではないか!

 

働き始めて2ヶ月弱のアルバイターでは36回払いを認めてもらえず、何だかんだで予定より1万円割高のエアコンを購入するはめになった、踏んだり蹴ったりの夏の終わり。

 

彼は自分も知らない間にまたまた大人の階段を一歩登った。

おっとおっと 大人の階段を登るハメになったこのカタログは彼には見せられない!

安いのが載ってると発覚したら暴れるに違いないからだ。

 

この事実は母の胸に秘め、墓場まで持っていくことを誓った。

 

大人の階段を予定外に一歩多めに登り、大人の苦さも多めに味わったであろう。

甘いジュースしか知らなかったそんな君にウエストで缶コーヒーを買ってきたよ

 

飲んでみなはれ!大人の味! おめでとう大人の味!

次回は第二話「ヒエラルキー」

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