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【ウエストのおんな(第3話)】~西彼在住アラフィフ主婦とその日常/ウエストジプシー~

ウエストジプシー

私は海近住子(うみちかすみこ)。西海アラフィフパート主婦である。

パート職場での休憩時間、お茶と近藤まんじゅうをいただきながらお姉さま方とのたわいもない会話。

「今日の晩ご飯のおかず 何にする~?」とひとりのお姉さまがひと声発した。

午前中は、まだまだ晩のおかずなんて考えられないし、まだ朝の10時だし、昼ごはんも食べてないし、近藤まんじゅう美味いし、近藤まんじゅう美味いし、近藤まんじゅう美味いし…

てかこの近藤まんじゅう・・・すんごく美味い!!!!

※近藤まんじゅう・・・西彼町中山郷にある近藤製菓店の看板商品のまんじゅう

もはやお姉さまの質問は闇に葬られている。

私の頭の中は今、晩のおかずではなく近藤まんじゅうでいっぱいなのだ。

さて、そんな事を考えているうちにタイムリミットは刻々と迫る。

仕事をしながらの世間話は魔の夕方に近づくにつれ、徐々に「晩ご飯のメニューをどうするのか?」という現実的な問題に、悶え苦しむ。

すでに今日のメニューが決定し、余裕をぶちかましているお姉さまに、決まっていないメンバーは我先にとその献立てを「教えてくれ」と懇願する。

そして自分の舌とメニューの相性がその日の献立を左右する。

1.マッチングした場合→ありがたくパクる

2.ミスマッチングの場合→ウエストジプシー決定

ちくしょう!!!!!今日の私はミスマッチングの日だった。

せっかくお姉さまが教えてくれた長崎名物『皿うどん』。実は昨日やってしまっていた。自分を責める。

結局その日のメニューが決まらず、ウエスト内を2周3周とグルグルとさまよい放浪することに・・・。

私はそれを『ウエストジプシー』と呼ぶ。

仕事が終わり、いつものようにウエストへ。

今日のレースは難航しそうだ。そうメニューが決まっていないから。

スタートしてまず1周目!!相手の出方を見るためさらりとまわる。まだカゴの中は空っぽだ。

 

次、2周目に差し掛かる。

惣菜を握ったり、離したり。握ったり、離したり。

我慢だ!『定価』の惣菜はもうしばらく我慢だ!

レースは終盤に入り、3周目突入

「あぁ神様!どうぞ私に今日のメニューをお授けください。」

まだカゴの中には広告の品の油とラップしか入っていない・・・。

まさか4周目に足を踏み入れてしまうのか?

おやおや!?私と同時に店内に入ったあのご婦人はすでにゴール(レジ)にたどり着いているではないか!

見渡すと、ライバル達が次々とゴールしている。

メニューの決まらなさに足の震えが止まらない。時間ばかりが過ぎる。

もうこれは皆さまご存じの主婦のお助けメニューをぶち込むしかない!

先ほどグッと我慢した惣菜コーナーの『からあげ』を購入させていただき、トッピングにしよう。

こういう場合の『定価』は主婦ルールでOKなのだ!

はぁ・・・明日はジプシーしない買い物がしたい。

そんな私を今日もスーパーウエストは優しく受け入れてくれる。

次回「ウエストのおんな第4話」はこちらから

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