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きらきらを見つけて お互いを認め合う ~みんな素敵に輝いている~

佐世保市在住の童話作家 新井悦子さんが、8月に長崎を舞台に長崎弁で執筆した絵本「きらきらさがし」を発刊されました。今回、ばりぐっど編集部ライターaoharuが著者にインタビュー! インタビューは、前編、後編の2回に分けて掲載します。前編は「きらきらさがし」の創作の舞台裏についてお話を伺いました。また、新井さんのこれからの活動、新刊絵本の紹介もしていますので、インタビューと合わせてご覧ください。

それでは、前編インタビューをお楽しみください。

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『きらきらさがし』(さこももみ 絵 岩崎書店)2022年 8月刊

長崎を舞台にした絵本。きらきらじるし=がんばったしるし のこと。
主人公のあっちゃんは、さかあがりを一生懸命に練習しているけどちっとも上達しない。 その時にできた手のひらのまめをお母さんに「がんばっている時はみんなきらきらしているから、きらきらの しるしだよ」と教えてもらう。
あっちゃんの目を通して、家族のきらきらを見つけていく。

     

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お互いを認め合う~新井悦子さんの思い~

ー『きらきらさがし』のお話が生まれたきっかけ、どのような思いを込めて書かれたかなどを教えてください。

当時高校2年生の次男との会話。「親に愛されているとは思うけれど、認められているとは思わない」という言葉を受け「自分を認める、他者を認める」とはどういう事なのだろうという問いから生まれた作品です。

始めは、子どもの事を思いながら物語を書いていましたが、結局、主人公のあっちゃんが、お母さん、お父さん、お兄ちゃん、おばあちゃん、そして飼いネコのくーすけまでの頑張った姿に気づく、認める、という内容になりました。私自身も含め、誰しもが認められたいのだなという思いに至りました。

広島在住の画家さこももみさんが、佐世保市と長崎市を取材して絵を描いてくれました。さこさんの提案で舞台を長崎市の浦上天主堂のあたり(原爆投下の場所、平和公園、原爆資料館の近く)と設定しました。絵本の見返しには浦上の町のスケッチが広がっています。会話の部分も長崎弁で書きました。さこさんとアイデアを交換し、食卓には三川内の唐子の器、玄関の置物に佐世保独楽、かぎしっぽの猫など長崎らしさをあちこちにちりばめています。

ー長崎弁で絵本を書かれたのは、今回が初めてということですが、長崎の言葉で書こうと思った経緯を教えてください。

多くの作品はアイデアを練って書くのですが、この作品は自分の中からあふれ出てきたものをお話にしましたので、普段使っている長崎の言葉で書きました。おそらく編集者に「全国の方が読みやすいように標準語に修正してください。」と言われるだろうと思い、その時は標準語に書き直すつもりでいました。ところが読んでくれた編集者は、その場で「長崎弁で行きましょう、味わいがあります。」と言ってくれたのです。ただ、どっぷりの長崎弁だと他の地域の読者が読みにくく、分かりにくいので『長崎弁でありながら読みやすく、分かりやすい。』そのバランスを取るのが難しかったです。また厳密な舞台は長崎市なので、私が使っている佐世保弁とはニュアンスが違うかもしれないと思い、長崎市在住の4、5人の方にチェックしてもらいました。

ー「きらきらさがし」をどのように味わってもらいたいですか。

長崎を舞台に本当にある家庭のように描いています。しかしながら、全国の皆さんにも伝わり、親しめる作品だと思います。方言や絵、言葉から長崎を感じて、共感してもらえたらと思います。親子で絵本を見て、楽しい気持ちになる、お互いのがんばりを認め合う。そんな読後を感じてもらえると嬉しいです。

絵本を楽しもう!~子どもの心の根っこを育てる~

~新井悦子さんからのメッセージ~

絵本を読む時間をどうぞ楽しんでください。子育て中の方は「子どものために絵本を読まなければ!」「一日何冊読まなければ!」という強い思いをお持ちの方も多いかと思います。絵本を読むのが苦痛、という声も聞こえてきます。それぞれの家庭の生活スタイルにあったペースで、絵本を楽しむことができれば、それでいいと思います。

絵本を読むとよい事はたくさんありますが、読むことを目的にしなくて大丈夫ですよ。ただただ絵本の時間を親子で楽しんでほしいです。絵本の内容は覚えてなくても、「読んでもらうの好きだったな」「この表紙覚えてる!」とあとから思ってくれればそれでいいと思います。

絵本と過ごした楽しい時間こそが、子どもの心の根っこをしっかりと育てるのではないでしょうか。

二人の世界観を感じて~創作への思いを重ねる~

「きらきらさがし」は、日常にある小さな輝きを見つけあう素敵なお話です。お話が生まれたエピソードもジーンと心に響きますね。新井悦子さんが心をこめて綴った言葉、さこももみさんが長崎をめぐり描いた絵、お二人の創作への思いを重ね合わせながら読む「きらきらさがし」は、より一層味わい深くなることでしょう。ぜひ、手に取って、お二人の世界観を感じてみてください。

後編は、絵本が完成するまでの過程など、あまり知ることができない貴重なお話が満載です。どうぞお楽しみください!

これからの活動とイベント~講演会と新刊紹介~

~新井悦子さんに会いに行こう!~

◆10月30日(日) 14:00~15:30 
新井悦子氏講演会『きらきらさがし』~絵本に願いを込めて~ 参加費無料
佐世保市立図書館 3階 視聴覚室 先着35名程度 図書館窓口または電話で申込
☎0956-22-5618[10月10日(月祝)10:00より申込開始]

◆11月12日(土) 14:00~16:30
『図書ボランティア研修会』 長崎県立ミライON図書館 1階 多目的ホール
先着50人  詳細はこちら

◆11月17日(木) 10:00~11:30
『おはなし会』 参加費無料 こむかえこども園(西海市)
子育て支援センター わくわくひろば 対象:未就園児の親子 要予約
人数制限あり ※詳細は直接お問い合わせください。☎0959-28-0130

 新刊紹介~

9月中旬に新刊絵本『きょうはおうちでうんどうかい』(小林ゆき子 絵 岩崎書店)が出版されました。
おうちほいくえんシリーズ第3弾です。

コロナ禍、おうち時間の大切さが注目されています。このシリーズは保育園・幼稚園の季節の行事や取り組みを家庭の遊びにも取り入れようというもの。雨で保育園の運動会は中止に。だったらおうちの中で運動会をやっちゃおう!靴下を丸めて玉入れ、ふとんや椅子を使って障害物競争に。そんなアイデアが満載です。子どもたちを応援し、自分も楽しんじゃうおばあちゃんも登場します。巻末には運動会遊びのアイデアコーナーもありますよ。

     

おうちほいくえんシリーズ
第1弾 『きょうはおうちでいちごがり』(つがねちかこ 絵 岩崎書店)
第2弾 『きょうはおうちでなつまつり』(ももろ 絵 岩崎書店)            

プロフィール

新井悦子:佐世保市出身・在住の童話作家。筑波大学日本語日本文化学類卒。子ども向け教材の編集を経て、出産を機に佐世保に帰郷、童話を書き始める。日本児童文芸家協会理事、絵本学会会員、長崎短期大学非常勤講師。おもな作品に『だいすきのしるし』(岡田千晶 絵 岩崎書店)『いたいのいたいのとんでゆけ』(野村たかあき 絵 鈴木出版)『きょうはとくべつなひ』(いりやまさとし 絵 教育画劇)など。紙芝居、ワークブック企画、中国語の翻訳絵本など多数。

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