『 大人のレコー道 』~レコードのススメ~ 第2章

ようこそ、レコー道を楽しむための大人時間へ。ばりぐっど編集部大崎支局の”ベーヤン”です。 「レコー道第1章」のレコードの誕生についての話はいかがだったでしょうか?   エピローグでもお話 …

ようこそ、レコー道を楽しむための大人時間へ。ばりぐっど編集部大崎支局の”ベーヤン”です。

「レコー道第1章」のレコードの誕生についての話はいかがだったでしょうか?

 

エピローグでもお話しましたが本当に今の電化製品は便利になりました。

昭和40年代まではテレビや電話はボタンじゃなくてダイアル式で、洗濯機の脱水も手でローラーを回して衣類の水を絞っていました。

 

もちろん蓄音機も当初は手回しでしたね。

 

 

 

変わらないもの、変わりながら進化するもの、そしてその役目を終えるもの・・・。
レコードの世界でもやはり時代の流れとともに終わりを迎えていきます。

 

 

明治時代から昭和初期にかけて、日本製の蓄音器やSPレコードが作られ、政治家の演説や漫才、流行歌(現代の歌謡)海外の音楽も聞けるようになりました。

 

その中でも特にジャズは昭和モダンといわれる時代には欠かせませんでした。

 

 

 

消耗品である蓄音機用の針を収納したブリキの缶は、今見ても海外の影響を受けたモダンで素敵なデザイン。

それが蓄音器の側にそっと置かれていたのを想像するだけで当時のロマンを感じます。

 

 

 

そんな時代が流れ、やがて日本は数々の戦争へと進んでしまいます。

 

 

 

 

 

レコードは戦争と深く関わってしまうのです。  

 


 

 

昭和16年頃になると、それまで広く庶民が楽しめた洋楽が『敵国の音楽』として禁止となりました。

ダンスホールの閉鎖、ジャズの演奏禁止、レコードの回収・・・。

日常の言葉やモノの名前さえ検閲(当時の国が不都合と判断したものを取り締まる)で制限されてしまいます。

 

子供向けのレコードも軍国調になり、軍国歌謡や愛国的な歌がつくられました。現代、日本の歌100選にも選出され親しまれている童謡『汽車ポッポ』は、昭和12年に作られた『兵隊さんの汽車』の歌詞を変えたものです。

 

こうして庶民が楽しんだSPレコードは、戦争によって材料も輸入できなくなり、代用素材で作られたものは品質が低下しました。

又、戦後はSPレコードに代わる新しいレコードも出現し衰退していきました。

 

 

 

好きな歌を聴くことを禁止された音楽を愛する人々は、いったいどんな気持ちだったのでしょう。

 

戦時下のドイツやポーランドではジャズをマーチとして演奏したり、ソ連ではジャズやロックを聴くために、使用済みのレントゲンフィルムを再利用して「肋骨レコード」と呼ばれるレコードを作ったそうです。

何度取り締まっても作られた肋骨レコードには『自由に音楽を楽しみたい』という願いが込められていたんだと思います。

 

 

その気持ちは日本人でも同じだったのでしょう。

 

 

多くの尊い命が消えた硫黄島(小笠原諸島)の洞窟で発見されたレコードは日本語の「セントルイスブルース」でした。                


 

 

そのレコードは日本兵の遺体と遺品が残る防空壕の中にありました。

本来なら聴くことを禁止された一枚のレコードは「ブルースの父」と呼ばれた黒人のウイリアム・クリストファー・ハンディが1914年に楽譜出版した楽曲でした。

 

女性が男に捨てられ酒場で嘆く様子を楽譜にしたとも、黒人の嘆きを楽譜にしたともいわれている曲で、ジャズのスタンダードナンバーとして現在でも世界中に知られています。

林家木久扇のネタで『いやんばか~ん・・・』のフレーズといえば思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

 

日本兵が誰で、なぜこのレコードを戦地へ持っていったのかは謎のまま。

でも彼はこのレコードを持って戦いに行ったのです。禁止された敵国の音楽はきっと大事な心の支えになったのでしょう。

 

硫黄島でレコードを聴くことは出来なかったかも知れませんが、この曲と共に遠い日本に残した愛する人を想ったのでしょうか。

 

自由に好きな音楽が聴ける日を信じて・・・。

 

このレコード『浪曲セントルイスブルース』は事故で失明した70歳のウイリアム・クリストファー・ハンディの元に届けられ、生涯の宝物となり、大切に聴かれたと言われています。
晩年、彼は自分の子供達にこう言い遺しました。

 

『これは敵も味方もなく、同じ歌が聴かれたことを物語るかけがえのない一枚なんだ』と。

 

今でも彼の孫たちにによって大切に保管されています。

参考文献:「スタンダード・ヴォーカル 名曲徹底ガイド下巻」音楽出版社

 

割れやすく重いSPレコード。地震や戦火を逃れたそんなレコード。

たった一枚のレコードにも深い歴史が刻まれています。

 

 

今よりもずっとレコードの持つ価値は高かった時代でした。

 

 

『レコー道のたしなみ』として、こんな一曲に耳をかたむけるのもいいものです。

 

西海市大瀬戸やすらぎ交流拠点施設 音浴博物館で素敵な大人時間を過ごしてください。

戦闘機のエンジン音が録音されたSPレコードや、わろてんかのモデルになった『わらわし隊』のレコードも聴くことができます。

 

 

次回、大人のレコー道 第3章はカラフルでおもちゃみたいな可愛いレコードの話です。

 

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