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【ウエストのおんな(第13話)】~西彼在住アラフィフ主婦とその日常/加齢臭と生くさ臭~

加齢臭と生くさ臭

 

私は海近住子(うみちかすみこ)西海アラフィフパート主婦である。

 

ほら、やっぱり梅雨梅雨詐欺に遭ってるよね?

梅雨入り宣言から、雨という雨にお目にかかった記憶がないのだが。

まぁ おかげ様で洗濯物が外に干せるので、部屋干しのぞうきん臭の臭さに鼻を曲げずに済んでいる。

この先後半になってからドッカンと降るんではなかろうかと、少々ドギマギしている。

 

さてガラリと話しは変わるが、今年の3月に末娘が就職を機に家を出て、花の十代が我が家から消えた。

 

女子っ気の無くなった生活。

男臭が増し増しのリビング。

 

まぁ年頃の次男坊が放つ20代の若年男子臭は全然許せる。

それはやはり自分のかわいい分身だからというのが1番の理由だろう。

きっとクッサい臭いに鼻は曲がるがそれはそれで愛おしいのだ。

 

だが、旦那は違う。

 

旦那は私の分身ではないし、かわいい息子でもない。

そんな彼が放つ化学兵器。

 

加齢臭。

 

すごく強力である。

何がどう化学変化を起こしたら、あのとんでもない兵器を作りだすのか。

 

 

彼の体内では不眠不休の24時間体制で何かしらと何かしらが想像を超える融合を果たし、この世を滅ぼす程の威力を持った兵器を作り出しているに違いない。

 

 

この恐ろしい危機から地球を守らねば!

 

 

まぁ、ご本人がご自分が放っている加齢臭にお気付きでないというところがにおいを解決できない問題だろう。

かろうじて我が家の旦那はお気付きではあるのだが、そのレベルについて私と若干の差が生じている。

私はなかなかの高レベルで排出していると思うのに対し、彼にはかすかに香る程度のレベルらしい。

 

マジで?

あんたの鼻はどがんなっとっと?

 

そういえばもうすぐ父の日がやって来る。

父の日と言えば去年、娘からのプレゼントが

 

がっつりめの、消臭スプレーだった。

 

ナイスチョイーーーーーース!

 

「自分にかけて消臭しろよ」という娘の優しさがにじみ出る心のこもった最高のプレゼントだ。

 

それをもらって、ややテンションが下がった様子の旦那だったが、

「サンキュっ!」と言って自分にシュッシュしていた。

 

旦那 メンタル強っ。

 

『娘からのプレゼント』というスペシャルな響きに舞い上がってしまった旦那は娘の意図するところを完全にはき違え、すっかり上機嫌になっているのである。

 

これは手ごわい。

ここまでポジティブに持ってかれると、彼には何を言っても前向きに捉えられてしまう。

 

私は考えた。

そういえば以前、私も一度旦那から

 

「生臭か!」

と言われたことがある。仕事でだっぷりと汗をかいた後だったので「汗臭い」と言いたかったのだろう。

「そりゃ当たり前!私も生ものですから!」と答えたが、これはもう『目には目を!歯には歯を!』だ。

 

「加齢臭には生くさ臭を!」

 

で、対抗してみようと思った。『生くさ臭』を嗅いでみやがれ!

 

もう少し修行を積んで、最強の『生くさ臭』を手に入れよう。

そうすると旦那は『人の振り見て我が振り直せ』で自分の失態を認めざるを得なくなるのだ。

 

しかしこのミッションはかなり大きなリスクを伴う。

 

私は少々自分を捨てなければならない。

 

ただでさえ『おばちゃん』なのにプラス『生くさ臭』で、『生臭いおばちゃん』になってしまう。

そうだけども。

そうだけども私は結構な痛手を負う。

『生臭いおばちゃん』で仕事帰りのウエストに行かなければならない。

『生臭い』の香りを残しながら店内をうろつくことを許して欲しい。

どれもこれも旦那の加齢臭と戦うためなのだ。

 

あーーー!

旦那の加齢臭のおかげで私の『おばちゃん評価』まで下がってしまうじゃないか。

 

加齢臭ってキライ!

 

そんな私を今日もスーパーウエストは優しく受け入れてくれる。

 

次回「ウエストのおんな第14話はこちらから

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