地元の西海町でinahosmallkitchen(イナホスモールキッチン:以下inaho)として焼き菓子を作りながら、学童保育の運営にも携わる太田さん。
その澄んだ瞳の奥には、「お菓子作りへの情熱」と「地元を愛する思い」がキラリ☆kirari。日々輝いて行動する太田さんを、今回インタビューさせていただきました。
Contents
【プロフィール】
太田 圭美(おおた・よしみ)
西海市西海町出身。1983年生まれ。福岡・沖縄で幼少期を過ごし、中学3年のときに西海町へ戻る。地元の高校を卒業後、大阪の製菓専門学校へ進学。就職、結婚、第一子を出産した翌年、一家で西海町へ。現在はご主人と3人の息子さんとの5人家族。
【焼菓子屋さんへの道のり】
お菓子作りをしたいと思ったきっかけは?
最初のきっかけは、幼少期に母がよく作ってくれたお菓子です。
ある日、幼稚園から帰ったとき家中がとてもいい匂いで、匂いの元をたどると台所の炊飯器でした。
ふたをパカッと開くとチーズケーキが入っていて、その時はチーズケーキを知らず「わぁ!何かおいしいものが入っている!」という、驚きと喜びと感動がずっと心にあり、お菓子ってとても魅力的で、人を幸せな気持ちにさせてくれるものだと思いました。
高校3年生の時に進路を決めた
高3の時、「カフェ・スウィーツ」という本をよく読んでいました。
カフェは、おいしいデザート、飲み物があって、ほっとできる素敵な場所。自分の好きなことで誰かを笑顔にできるような仕事、そういうお店ができたらいいなって。
そのために、おいしいお菓子を作れるようになりたいと思い、製菓専門学校への進路を決めました。
お菓子作りはどうやって学んだのですか?
大阪の製菓専門学校で1年間お菓子作りの基礎を学んだ後、フランス菓子店で2年間修行しました。
途中、こんな厳しい世界があったのかと自分の未熟さを痛感し、一度実家へ戻りましたが、3ヵ月後に「あ、やっぱり大阪へ戻ろう!」と思い立ち、カジュアルフレンチのレストランで働き始め、前菜やデザートを担当しました。
【大好きな地元で自分らしい働き方をつくる】
大阪へ戻った翌年に結婚、出産。家族で西海町へ
大阪へ戻って1年後に結婚、翌年に長男を出産。それを機にレストランを辞め、産後6ヶ月ごろから、自宅でお菓子作りやお料理教室を開くようになりました。
長男が1歳2ヶ月のとき、「いつかは地元に戻りたい」という思いが現実となり、家族で西海町へ戻ってきました。
子育てしているけど、何かやりたい
子どもと過ごしたいけど何かしたい、仕事がしたいという思いがあって、自宅で働くということをまずやってみようと考えました。
そして、実家の隣にあった物置の部屋を片付けて、少ない予算の中でやりくりしてお菓子工房を始めました。
人との出会いがつながり、共同でお店をオープン!
2012年、知人の紹介で「村の菓子工房」の濱浦(はまうら)さんと出会い、時々濱浦さんのところへ通うようになりました。
ある日、お店を一緒にやってみない?と誘われ、お客さんの顔を見てお菓子を販売したいという思いがあったので、2013年9月に「村菓子xinaho」をオープン。
材料にこだわり、西海市の食材を使って、この町の魅力を伝えられたらいいなという思いで、一緒にやってきました。
ステップアップのための卒業、それぞれの場所で個性を出していく
2017年7月に「村菓子xinaho」を卒業しました。
自分のお菓子作り、自分の色を出して、しっかりinahoのお菓子を形にしたいという思いが出てきて、お店の仲間に相談。
これからは、濱浦さんが今のお店で「村の菓子工房」を、私は横瀬で「inaho」を発信して、個性を出していこうと。
最初は1人の大変さがあり一緒にやってきましたが、お互いに経験を積んで成長してからの独り立ち。今は楽しみの方が大きくて前向きな気持ちです。
学童保育所を開くきっかけは?
3年前、校区内に学童がなくて困っている人がいると聞いて、自分も来年長男を預けるところがないなと。
それで、自分の住む町が働きやすく、子育てしやすい場所であるためには、学童保育所があった方がいいと思い、3年がかりで開設に至りました。
地元が好きだからこそ、どうにかしたい!を形にした。
西海町の横瀬という場所が好きで、ここの未来を考えたとき、スーパー、病院、学童もないのは、子育て家庭にとってマイナス要素。
このままだと人口減少につながるし、どうしたら防げるだろうかと考えました。
周りは共働きが当たり前なので、親が子どもを預けられる場所、子どもが安心して過ごせる場所が必要だと思いました。学童があれば、自分もお菓子作りに集中できますし。
すべて手探り、手づくりで開設にいたる。
最初の1年は、いろんな学童保育所へ行き情報を集めました。運営者や市にも相談、そして既存の建物を改装して開設することに。
4月1日開設が条件で、市の補助金がおりることが決定し、仲間や地域の人たちに協力してもらいながら、4ヵ月という期限内になんとか間に合い開設できました。
【誰かの人生に小さなhappyを】
これからの展望は?
inahoとして、横瀬でお菓子作りを再開したばかりなので、まずは自分の中で「これだ!」というお菓子を作るために、自分のお菓子作りの土台をしっかり築きたいです。
そして40歳ぐらいに、横瀬浦にある八の子島(はちのこじま)の見える場所で、来た人が幸せにひたれるようなカフェを開きたいです。
誰かの人生に小さなhappyを感じてもらえたらいいなと思います。
地元で大好きなところを教えてください
自然が豊かなところ。すぐそばに海と山があって、野菜、海の幸、食べ物が安心して近くで買える環境はすごく自慢したいです。
田舎の良さ、人があたたかくて、こどもたちがのびのび育つ環境は最高。ぜひ、こちらへ来て、西海の自然を感じてください!
―今日はどうもありがとうございました!
【あとがき】
キラリ☆第2弾、いかがでしたか?ひとつひとつていねいに言葉を選びながら、ご自分の内側にある思いを惜しみなく語る太田さん。
「何でもやってみたい!」という好奇心、「必要なものは自分でどうにかして作る」という発想と行動力で、いろいろな人を魅了し、いつの間にかたくさんのサポートを得て思いを形にしています。
西海という自然豊かな環境で自分らしく生きる太田さんのキラリ☆kirariをお届けできたこと、嬉しく思います。
また、今回はNHK長崎の取材が入り、太田さん、そして西海町の村の菓子工房さんにはたくさんご協力いただき、心より感謝いたします。
inahosmallkitchen(イナホスモールキッチン)
西海市西海町横瀬郷2815-5
090-8084-3812
焼菓子は、【村の菓子工房(西海町)】、【よかところ(西海町)】、
【JAグリーンセンター(西彼町)】、 【てとて舎(佐世保市)】にて販売中。