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【ウエストのおんな~SUMMER~第9話】<次男の夢・やっと叶ったエアコン設置>

 

海近住子(うみちかすみこ)47歳!

西彼に住む『更の年期』がチラチラ顔を出すお年頃のアラフィフパート主婦である。

 

8月も終わってしまった。

 

職場のお姉さま達と『盆の過ぎればすぐ正月の来るたいね~!』と1年前に話していた内容を今年もしている。

1年過ぎるのは早いものだ。

 

そんな話しをしているのに、我が家の次男の部屋にいまいまエアコンが設置された。

8月30日の話しだ。

 

夏はもう終わるよ~

 

確かに残暑はあるだろう。確かに2階の真ん中の部屋は熱がこもってまだまだ暑いだろう。

 

この夏、毎日毎日念仏のように『暑い暑い』と唱えていた次男

このまま『暑い暑い教』を発足し、悟りを開いてしまいそうな勢いだったので、いやいやその普及活動より普通に仕事を頑張ってくれよと願うばかりであった。

 

自分のことを『デザイナー』と言い張るアルバイター次男は、なけなしの貯金で買い揃えたパソコンやらその他デザイン作成に使う色んなモロモロを暑さと湿気から「守りたいんじゃ~」と一丁前の事をぬかす。

 

しかしなるほど、「暑くて死んでしまうわ!」と言っている一方、仕事道具を気にするところ『なんだか職人ぽいじゃないか!』と喜ぶ母。

 

あーー そうでした。購入資金は御自分の懐からでした。そりゃぁ命がけで守ってください!

 

じゃぁ もっと早くエアコンつけりゃよかったじゃん。

なぜここまで日数がかかったのか。

それは、もちろん働いている訳だし『自分の部屋のエアコンは自分で購入!』と、こちらもまた念仏のように次男の耳元でずっと囁いていたので、お財布事情が厳しい彼は、

 

『購入』

 

の二文字に躊躇していたのだ。

 

そこで私は、我が家が大のお得意様である、「ジャパネットたかた」を教えてあげたのだ。

 

金利手数料ジャパネット負担!

あぁ主婦が大好きな魔法のこ・と・ば。

 

36回払いOK! 月払い2100円! これなら僕ちゃんにも払える金額でしょうよ。

 

それでも優柔不断な彼は、1週間~2週間~悩みに悩んだあげく、やっとネット注文までこぎつけた。なんでもただ今『エアコン祭り』なるもの開催中で設置料が無料とな!

 

もう頭の中は冷たい風に当たりながら、少々短めの足を組んで右手にパソコンのマウス、左手に大好きな炭酸ジュースを持ちながらポチポチする『出来る自分』を想像しているに違いない。

 

しかし注文翌日

 

「おかーさん、ジャパネットたかたからダメ~言われた~」

と報告あり。うんうん そうじゃないかと母は分かっていたよ。

働き出してまだ2か月弱のアルバイターに36回払いのローンなんて相手方さんにとってはギャンブル。

丁重に彼のご注文をお断りしてきたそうだ。

 

いくら天下のジャパネットさんでもそこまでお人好しではないのだよ。

 

母はこんなところで社会の厳しさを教えてあげたのだ。

 

やっとの思いで決断を下し注文、設置の日取りまで決まっていたのに、すべてが白紙。

 

十分に社会の厳しさを味わったところで、お得意様の母が彼に変わって注文をしてあげた。

ネットでジャパネットを検索、エアコンのコーナーを見ると、彼が注文予定のそのエアコンがもう売り切れ!

 

母、なんだか罪悪感 ♪

しょうがないので、半分キレ気味の彼が選んだ予定より1万円お高いエアコンを注文、

8月の真っ只中に注文すれば、そりゃ設置する業者さんがフルで頑張っても日数がかかるさ。

で、指折り数えての8月30日であった。

 

私は彼の代わりにわざわざ仕事を休み、業者の方がぬかりなく設置したところをしかと確認し写メってLINE報告、母の罪悪感をプラマイゼロにした。

 

でもこれでひとまず彼の理想の城が完成系に近づいたと思われる。

おかげで『暑い暑い教』は発足することはなかった。

 

ただこれからの電気代が恐ろしいところだが、彼の満足そうな顔を見ると、これでよかったと思える。

 

「しもしも~ お父さん? 帰りにさ~ウエストでチョコレートアイスバー買うてきてくれ~ん?」

エアコンついたお祝いしとらんやったや~ん?次男君が1番好きなアイスよ。3割の時しか買わんけど、今日は特別に買うてきてやって!

これから初めての借金生活にかんぱ~い・・・。

 

NO WEST NO LIFE !

今日も海近家は平和である。

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