こんにちは、ばりぐっど編集部です。
先日ご紹介した西海クリエイティブカンパニーによる、新しい観光コンテンツ『ZEKKEI SAIKAI』。
→新感覚!空中散歩で見たこともない西海市の景色を堪能できるってホント!?
記事の中で、高齢者の方を対象とした『ZEKKEI SAIKAI』のVR体験(以下、VR体験)の様子についても少しお伝えしました。
しかしながらそのVR体験は、予想以上に体験者のポジティブな反応がありました。
高齢者支援の経験がある筆者はその有意義さを感じましたので、より詳しくご紹介したいと思います!
Contents
VRだからこそできる体験に興奮!活動をワクワク楽しむ一助に
今回のVR体験の実施場所は、西彼町中山郷で地域の高齢者に向け定期的に開催されている健康づくり教室。
西海市通所型サービス事業認定・中山青葉クラブ代表の山里さん(下記写真)が、VR体験のことを新聞記事で知り、西海クリエイティブカンパニーに依頼しました。
体験開始前に、山里さんがお話をされました。
「高齢になってくると、なかなか景色を楽しむような外出や遠出は少なくなります」
「またインターネットで動画を楽しむということも、高齢者にはハードルが高い。なので、今回ここで体験させていただくことにしました」
VR体験は実際にその場所に出向いたり、馴染みのないパソコン操作したりしなくてもいいのです。日常場面にいながら、非日常とも言える光景を楽しむことができるということに、山里さんは意義を感じたということです。
体験者は本日の教室参加者13名と山里さんの計14名。2グループに分かれて1人ずつゴーグルをつけ、VRによる空中を散歩している感覚で絶景を鑑賞しました。(下記写真のように、テレビ局も取材に来ていましたよ!)
「うわ〜すごか〜」「景色のきれかー!」「下を見ると海に落ちそう!」
その空中散歩体験&絶景のリアルさに大興奮でした!
また初めての体験で戸惑いながら、とりあえず座って鑑賞を開始した方も…
体験しているうちに、思わず立って動き出しました!
取材しているこちらにもそのワクワク感が伝わってくるほど、体験者のみなさんがVRを楽しんでいました!
体験者が語り始める!VRで眺めたリアルな景色により促される回想
VR体験をしたことで、過去の記憶をたどり当時のことを語る体験者もいました。
「昔ここは炭鉱があった場所で〜」とその時代を振り返ったり、
「以前、崎戸の夕日を見たに行ったことがあってね」と思い出を語ったり、
VRによってリアルに西海市の景色を体感したことで、回想がうながされているようでした。
回想すなわち過去を振り返り思い出すことは、
・自分の人生の統合や再評価することにつながる
・回想したことをスタッフや仲間に語ることでコミュニケーションが促進される
などと言われています。
回想法という高齢者を対象とした心理療法もあるのです。
今回の取材で、VR体験によって体験者の回想が促がされている様子を、目にすることができました!
VRにより確認する故郷の素晴らしさ!あらためて感じる地域愛
またVR体験した感想には、西海市の景色の素晴らしさを再確認する声も。
「西海市ってこんなにきれかったんだなぁと、あらためて思い知りました」
「新しい技術で西海市の良さを感じることができて嬉しい。ここに住む私たちはもちろん、市外の人にも西海市の魅力を伝えることができますね。交流人口を増やすことにつながって欲しいです」
自らが住む地域に対する誇りや、さらなる地域発展を願う思い。
その語りからは、長年この地に住み自らの歴史を刻んできたことによる、深い地域愛を感じました。
日本は4人に1人が高齢者(65歳以上)という、超高齢化社会です。田舎なら、さらに高齢者の割合は増えるでしょう。各地域で、高齢者を対象とした取り組みが盛んに行われています。
そこでは日常生活動作(以下、ADL: activities of daily living)と呼ばれる、食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など、生活を営む上で不可欠な基本的行動へのアプローチが主とされてきました。
しかし、高齢化が進む今日ではADLを含んだQOL(quality of life、すなわち生活の質)の向上が目指されています。
QOLとはひとりひとりの人生の内容の質を指し、自分らしい生活をイキイキと送り人生に幸福を見出しているか、ということをとらえる概念です。
今回のVR体験者の語りやその表情からは、そのQOLという形のない概念の片鱗に触れさせていただいたような気がします!
以上、高齢者VR体験についてお届けしました!
追記:本記事は、高齢者支援経験のある筆者の主観的な感想に基づいています。VR体験の高齢者支援における有用性を謳うものではないことをご了承ください。