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今度は、身近な西海市を集めてみる
こんにちは、aoharuです!
これまで「西海市の底力」シリーズでは、石のお鍋や西海橋、七ツ釜鍾乳洞など、西海市のいろんな場所や歴史をのぞいてきました。橋の上から、ついには地底まで。調べるたびに、知らなかった話が出てくるまちですね。
でも、気になるのは大きな話題ばかりではありません。道端の木や、どこからか聞こえる鳥の声にも、まだ知らない話があるのでは……?
そこで今回から、西海市のヒト・モノ・コトを一つずつ集めていく、新シリーズ『さいかい図鑑』を始めます。
最初のページは、西海市の「5つのシンボル」。
市の木、花、鳥、魚、そして花木。みなさんは、いくつ言えますか? 名前を知っている方も、選ばれた理由や生き物としての暮らしまでは、案外知らないかもしれません。
まずは、今回の顔ぶれをご紹介します!
さいかい図鑑 CARD #001|西海市の5つのシンボル

どうして、この5つが選ばれたの?
木や花に加えて、魚や「花木」もある。こうして並べると、なかなかにぎやかな顔ぶれですよね。
では、何を手がかりに選ばれたのでしょうか。
2009年10月の『広報さいかい』によると、市民から寄せられた応募を参考に、選定委員会が候補を検討。これから市内で広めたいもの、希少で保護の必要があるもの、姿や呼び名の美しさなど、いくつもの観点から選ばれたそうです。(広報さいかい2009年10月号・9ページ)
5つを知っていくと、林から藪へ、岩場の海から河口へと、自然に視線が広がっていきます。市のシンボルを入り口に、まちの風景をたどる。図鑑の最初のページに、ちょうどよさそうです。
それでは、赤い実をつけるあの木から。
【ヤマモモ】——赤い実の木は、根っこも頼もしい

初夏、枝に粒々した赤い実をつけるヤマモモ。甘酸っぱい実を見て、子どもの頃を思い出す方もいるかもしれません。
名前に「モモ」とつきますが、果物のモモとは別の仲間。ヤマモモ科の常緑樹で、暖かい地域に育つ木です。
この木、実だけでなく、土の下にも面白い特徴があります。
根には「根粒(こんりゅう)」というこぶができ、そこに共生する微生物が、空気中の窒素を生育に使える形にしてくれるのです。この働きもあって、乾燥したやせた土地にも耐えられます。目立つ赤い実の下で、小さな相棒が木の暮らしを支えていたんですね。(森林総合研究所「ヤマモモ」)
そして、西海市とのつながりにも、ちょっと歴史があります。
ヤマモモは、旧西彼町と旧大瀬戸町でもシンボルだった木。合併前からのまちの「顔」が、今の西海市にも受け継がれています。市の広報では、葉が茂る姿に、これからの繁栄を重ねています。(広報さいかい2009年10月号・9ページ)
赤い実を楽しむ木であり、まちの歩みをつなぐ木でもある。次に見かけたら、枝ぶりまで眺めてみたくなります。
【カノコユリ】——名前の中に、子鹿がいる

続いては、市の花・カノコユリ。
まず名前の話から。「カノコ」は漢字で「鹿の子」。花に散らばる斑点が鹿の子模様に見えることにちなみます。
淡い桃色の花に、濃い色の斑点。花は下を向き、花びらのように見える部分は、くるんと外へ反り返っています。正面から見るだけでなく、横から眺めても面白い形です。(広島県緑化センター「カノコユリ」)
名前と形が結びつくと、覚えやすくなりますね。「あの斑点のある、反り返ったユリだ」と、写真を見る目も変わってきます。
では、西海市のどんな風景の中で見られるのでしょう。
市の観光案内では、大瀬戸町の松島にある、釜浦港前の坂道のカノコユリが紹介されています。見頃は7〜8月。島の港と、坂道と、夏のユリ。花の名前を知ることで、島歩きの途中に気に留めたいものが一つ増えますね。(西海市「松島」)
野に咲く花は、その場所の風景と一緒に眺めたいもの。出会えたら写真に収めつつ、来年もまたここで咲く姿を楽しみにしたいですね。
【ウグイス】——声はおなじみ。姿は、どうでしょう?

「ホーホケキョ」。
この声を聞くと、春を感じる方は多いのではないでしょうか。でも、ウグイスの姿を思い浮かべてと言われると……ちょっと迷いませんか?
もし鮮やかな緑色の鳥を想像したなら、それはメジロかもしれません。

実際のウグイスは、緑がかった褐色の、落ち着いた色合い。明るい緑色のメジロとは印象が違います。(サントリー「日本の鳥百科・ウグイス」)
声はよく知っているのに、姿はあまり知らない。その理由の一つが、藪の中で暮らす習性です。ササや低い木が茂った場所を好み、巣も藪の低いところに作ります。
おなじみの「ホーホケキョ」は、繁殖期の雄のさえずり。雌を引きつけたり、ほかの雄との縄張りをめぐるやりとりに使われたりします。人にとっては季節の音でも、鳥にとっては暮らしに関わる大切な声なんですね。(バードリサーチ「生態図鑑・ウグイス」)
次に声が聞こえたら、周りにどんな藪や木立があるのかも眺めてみてください。姿が見つからなくても、「このあたりが居場所なのかな」と思うだけで、いつもの道に少し奥行きが生まれそうです。
【アラカブ】——いつもの魚に、意外な生まれ方

今度は海の中へ。市の魚は、アラカブです。
長崎ではおなじみの呼び名ですが、標準和名は「カサゴ」。別の魚ではなく、地域で親しまれてきた名前なんですね。
岩場に暮らし、あまり大きく移動しない魚ですが、今回調べて気になったのは、その生まれ方でした。
魚といえば、水中に産み出された卵がふ化するイメージはありませんか? ところがアラカブは、母親の体内で卵がふ化し、小さな魚の姿で生まれてきます。

この繁殖の仕方を「卵胎生(らんたいせい)」と呼びます。長崎県の水産試験場の資料によると、生まれたばかりの子は全長約4mm。普段見かける姿からは想像しにくいくらい、小さな命の始まりです。(長崎県総合水産試験場「カサゴの種苗生産について」)
一方、市のシンボルとして注目されたのは、その勇ましい姿。市の広報では、時代の荒波を切り開いて進む西海市のイメージが重ねられています。(広報さいかい2009年10月号・9ページ)
見た目に託されたまちの願いと、おなかの中で進む小さな命の営み。同じアラカブでも、二つの方向から見てみると、印象が少し変わります。
食卓や釣りでなじみのある魚にも、まだ知らない一面がある。図鑑に書き留めておきたい発見です。
【ハマボウ】——海と川のあいだに咲く、一日だけの花

最後は、市の花木・ハマボウです。
夏に咲く花は、やわらかな黄色。中心には暗い赤色が入り、ハイビスカスを思わせる姿をしています。
育つのは、河口や入り江などの塩分を含む湿地。海の水と川の水が混じる「汽水域」の周りにも生える、海辺の木です。(岡山理科大学・波田善夫「植物雑学事典・ハマボウ」)
花には、もう一つ知っておきたい特徴があります。
一輪の花は朝に開き、夕方には咲き終わる「一日花」なんです。
「一日だけ!? それなら見に行くのが大変そう」と思いますよね。でも、株全体が一日で咲き終わるわけではありません。次々に花をつけるので、花の季節には別の一輪が開いていきます。
咲いている黄色い花を見つけたら、それは今日開いた花かもしれない。そう考えると、何気ない一輪にも目が留まります。
そして、少し視線を引いてみると、その向こうには川や海、湿った岸辺があります。花の形を覚えることから、どんな場所で生きているのかを知ることへ。ハマボウは、西海市の水辺を眺める入り口にもなってくれそうです。
名前を知ると、風景がちょっと変わる
赤い実のなる木も、藪の向こうの鳴き声も、海辺の黄色い花も。名前と暮らしを少し知るだけで、いつもの風景の中に気になるものが増えてきます。
「市のシンボル」と聞くと、少しかしこまった印象がありますが、その顔ぶれは、私たちの暮らしの近くにいる生き物たちでした。
『さいかい図鑑』の最初のページは、この5つから。
これから西海市のヒト・モノ・コトを、一つずつ集めていきます。みなさんも、いつもの道や海辺で、今回の顔ぶれを気に留めてみてくださいね。
西海市のひとくち豆知識|夢に現れた白い鯨
最後に、松島を舞台にした昔話「くじら長者」をひとつ。
「民話の部屋」に掲載されたお話では、鯨捕りの与五郎は、クモの巣にヒントを得た網の漁で財を築きます。そんな与五郎の夢に、ある夜、母鯨が現れました。生まれて間もない子を連れて沖を通るので、見逃してほしいというのです。
与五郎はその願いを気に留めず、翌日、漁の舟は子鯨を含む二頭を捕らえて帰ります。それ以来、鯨は姿を見せなくなりました。やがて荒れた海に鯨が現れると、与五郎は自ら舟を出して銛(モリ)を打ちますが、舟ごと海中へ引き込まれてしまった——そう語られています。(民話の部屋「くじら長者」(再話:六渡邦昭))
その日、村の人々はとても悲しみ、立派なお墓を建てたそうです。命がけで村を潤してくれた与五郎への感謝と、自然への畏怖の気持ちがあったのでしょうか。
そして、昔話が今も残っているのは、教訓や知恵を後世に語り継ぐためとされています。当時の人々や語り継いできた人々が伝えたかったことは何なのか、そんなことを考えさせられるお話ですね。
画像・図出典
画像1~6・図1~2:筆者がGeminiにて生成
