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【ウエストのおんな~SUMMER~第2話】<梅雨明けカウントダウン>

 

海近住子(うみちかすみこ)47歳!

西彼に住む『更の年期』がチラチラ顔を出すお年頃のアラフィフパート主婦である。

 

梅雨に入った時は雨が降らず、『梅雨の嘘つき』と思っていたが、なんだか気づいたら毎日雨。

やっぱり梅雨なのね。

 

こんな時、雨ばっかりの合間にふと晴れた日があると是が非でも洗濯物を外に干したくなる。

いや干さなくてはならない! 使命感が湧く!

よごれ洗濯物を溜めてよいのは、せめて2日分。それ以上になると

 

危険があぶないっ!

 

それぞれの『加齢臭』『若者男子臭』『アラフィフパート生くさ臭』

3つの『かほり』が重なれば、どえらい化学兵器が出来上がってしまう!

それを臭ってごらんなさい。命を落としかねない!

 

たった『2日放置』でもそれぞれの『かほり』がいい具合にミックスされ1つになると、それは最強のフレグランスとなるのである。

フレグランスという名の化学兵器。それを3日放置で熟成させてごらんなさい。

 

のけぞるほどの恐怖。おってと!

もう命の保証はない。

でもそんな絶好の洗濯日和の時はなぜか、自分の仕事の休みといつも重ならない。

 

罰ゲームかよっ!

 

家にある山盛りのよごれ洗濯物に思いを馳せながら仕事をするしかないのだ。

 

なんだかな~

 

妄想の中では青空のもと、たくさんの洗濯物がはたはたと風になびき、洗濯洗剤のCMのように、ふんわふんわに乾いたフェイスタオルに頬をスリスリしている。

しかし現実の私は尋常じゃないくらいのワキ汗だっくだくで仕事をしているのだ。

 

身体中の水分みんなワキ汗で持っていかれたように感じてならない。

 

ああ、暑い。

今日はやけに暑いし、なんだか心なしか太陽が元気な感じがする。

お空はいつの間にか青空で、すっかり『夏の空じゃね?』みたいになってるし。

今日のワキ汗は今年一番の勢いで出た感じだし。もう出尽くしたし。

 

は? 九州南部が梅雨明け?

 

だからこんなに暑くて青空なのか? で、西海市って何部?西部?東部?

北部!

 

これは数日の内に西海市も梅雨明けのような気がする。

 

シャワーやお風呂に入る時、旦那はバスタオル、次男はスポーツタオルをやたら使うので、雨の時期はしばしの間使用禁止令を出していた。

大物のバスタオルとスポーツタオルを毎日毎日使ってもらっては、洗濯をしても干す場所がなく甚だ迷惑なので、お二人には申し訳けないがフェイスタオルを使っていただくようお願いしていたのだ。

 

しかし我が家の男衆は使用禁止令がでているにも関わらず、バスタオルとスポーツタオルをかたくなに使い続けてくれたおかげで他の洗濯物が干せない干せない。

 

洗濯が出来ず、干せず、乾かせず、イライラしているところに条例違反をぶちかますもんだからイリイリしてしょうがない。その様子を見た次男は

 

「もう 更年期はこれやっけん困る~」

とか言って失笑する。

まあそれも梅雨が明ければ 洗濯物論争に終止符が打てる。

そうなれば旦那も次男も私からブツブツ文句を言われずに、存分バスタオルでも、スポーツタオルでもガッツンガッツン使っていただけるのだ。

 

私の心は大自然の大海原のように広く広く男衆のちっさい反抗やら何やらをサラサラ~っと受け流すことができるのである。

 

大いなる母の愛なのだ。

 

さあ、梅雨が明けると本格的に夏がやってくる。

まだ夏を迎える準備が出来ていない海近家。

氷とアイスクリームと炭酸ジュース。海近家の3種の神器を用意しなくては。

どれが欠けても夏を越えられない。海近家の冷蔵庫の中には3種の神器が常備されるのだ。

 

あいた!アイス買うてくっと忘れとったーーー!

 

「しもしも~ お父さん? 帰りにさ~ウエストであずきバー買うてきてくれ~ん?」

「歯のおっかける硬さが、たまらんとさね~」

 

NO WEST NO LIFE !

今日も海近家は平和である。

 

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