こんにちは! 先日ペンギンモドキの化石が西海市大瀬戸町歴史民俗資料館で公開されました。
もう見に行きましたか?
この化石を発掘したのは、2016年当時西海市教育委員会の学芸員だった森浩嗣さん。現在は愛知県蒲郡市の科学館で学芸員のお仕事をされています。
今回は森さんに直接、化石発掘のお話を聞くことができました。
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2016年の発掘調査
森さんは、西海市で学芸員の業務の一環で化石の発掘調査を行っていました。
2016年に大瀬戸町の海岸での調査で発見したそうです。
――化石はどこで見つけたのですか?
森さん「詳しい場所までは言えませんが、大瀬戸町の海岸です。崖部分の岩の中から発掘しました」
――西海市はいろんなところから化石が出るんですね。
森さん「西海市は化石が多いですね。主に西岸部分には、貝の化石がその辺にゴロゴロしていたりしますよ。
七釜鍾乳洞の形成されている石灰質砂岩
海岸じゃなく山の中にも化石はあるでしょうが、実際には植物が生えていたりで見つけられないですからね」
――岩の中に埋まっている化石は、どうやって見つけるんですか?
森さん「今回の化石は表面に出ていたので、見えていました。骨の形が見えたので、すぐにわかりました。
岩の中に埋もれている場合は、見つけるのは難しいです。岩が割れていて化石の断面が見えているとか、そうなっていると見つけることができます」
化石発掘の現場!
――見つけた化石はどうやって掘り出すんですか?
森さん「ノミとハンマーで周りの岩を砕いていきます。岩をくり抜く感じで」
――手でやるのはけっこう大変そうですね!
森さん「この化石は、見つけたのが5月だったんですが1週間くらいで掘り出しました」
森さん「その後、化石をきれいにするためのクリーニング作業があって、それは1ヶ月くらいで終わりましたね」
化石クリーニングに関しては2016年に森さんの記事があります。こちらからどうぞ↓↓
ここにペンギンモドキがいた!
――今回見つかったのは一部の骨だけですよね。この骨がペンギンモドキだというのはどうやってわかるんですか?
森さん「骨の形から、鳥だということはすぐわかりました。それ以上のことは、CTスキャンをして内部の構造を調べました。
CTスキャンで断面図を見たら、この骨が分厚くがっしりしている構造だったことから、空を飛ぶ生物ではないということがわかりました。
この地層から出てくるもので、飛べない鳥といえばペンギンモドキだ、と判明しました」
森さんは、福井県立恐竜博物館の主任研究員宮田和周さんと共同で化石を研究・分析しました。CTスキャンも福井県立恐竜博物館で行ったそうです。
――いろいろな情報から種類を判断しているのですね。ペンギンは寒いところにいますが、ペンギンモドキは西海市にも棲めていたんですね。
森さん「そうですね。ペンギンモドキが生きていた頃も、西海市があまり寒いということは無かったと思います。
その当時、地球が寒冷化していた時代ではありました。
それ以前は、海というのはエサになるプランクトンが少なくて生物にとって棲みにくい環境だったんです。
海の深い冷たいところに、プランクトンの必要とする養分が沈んでいる状態だったからです。
気温が寒冷化したことで海の表面の水が下へ流れやすくなり、底の養分が逆に上がってくるようになったんです。
それで海の中にプランクトンや生物が増えて豊かになった時代でした」
――ペンギンモドキは、そんな豊かな海に棲んでいたんですね!
化石の魅力を感じてみよう
森さんは、化石の魅力は「自分たちがまだ生まれていない時代にどういう生き物が棲んでいたのか教えてくれる」ことだと言います。
直接姿を見ることができなくても、化石を調べてみるといろいろなことがわかるのですね。
化石を発掘しない私たち一般市民でも、化石やその解説を見たり、本・インターネットで調べると、昔の世界をかいま見ることができます。
今回お話を伺った森さんが発掘したペンギンモドキの化石は、大瀬戸歴史民俗資料館で展示されているのは9月30日まで、10月からは崎戸歴史民俗資料館へ移動して展示が行われます。