こんにちは!ばりぐっど編集部のめーたんです。
4月23日(火)に、第5回「thinc!」が「雪浦ゲストハウス 森田屋」で開催されました!
この「thinc!」は、回を重ねるごとに認知度が上昇!市外からの参加者も増え、「挑戦することを尊重するカルチャーをつくる」という価値観が、西海市を中心にほかの地域にもじわじわ広がってきているようです!
では、まず今回のスピーカーをご紹介します。
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山田健太(やまだ・けんた)氏
プロフィール:山田健太(やまだ・けんた)
大学卒業後、デザイン制作会社と広告代理店の勤務を経て、平成28年に西海市へUターンし、デザイナーとして独立。デザイン思考によるアプローチで、西海市の課題解決や活性化に注力。
今年4月からは京都造形芸術大学へ進学し、専門的な知識を深めながら、活動のフィールドを広げている。
【セミナー編】
今回、デザイナーの山田さんがお話してくださったのは、アートとデザインをつなぐ美意識について。
アートとは「問題の提起」であり、デザインとは「問題の解決」である。そしてこの2つをつないでいるのが自分の内側にある「美意識」であり、これは後天的に育成することができる。そして「美意識の質」とクリエイティビティの関係性についての内容です。
「アートとデザインはベクトルが逆で、アートは内側に向かっていく、デザインは外側に向かっていく」そうで、実際に写真を見て比較しました。
不法投棄のごみの写真。「ゴミは捨てちゃダメ!」って言っているのに、捨てている。
この状況を見たアーティストやデザイナーは、どう問題を提起、または解決するのか?
「まずアーティストは、もしかしたら人間の内側にある良くない心が生んだ『ゴミ人間』などと表現するかもしれない。」
(アート:内的表現、問題の提起=ゴミ人間)
「次はデザイン。一例ですが、デザイン思考でこの問題(ごみの不法投棄)が解決できました。さて、どうやったのでしょうか?」
この質問に対して「こどもの絵を描いた」、「ごみ袋に細工をする」などのアイデアが参加者から飛び出し、最後に正解が出ました!
(デザイン:問題の解決=鳥居の置物)
正解はなんと「鳥居」!会場からは「おー!」という歓声が(笑
「この場所ってもしかしたら、神様がいるんじゃないの?」と思わせるような、コストも労力もほとんどかからないデザインアイデアで、ごみの不法投棄という問題を解決したそうです。すごいですね!
次は、アートとデザインの共通点について。
・コミュニケーションを生み出す
・クリエイティビティ
・美意識 など
「美意識っていうのは『心を動かすワクワク認識モード』と、私は名前をつけています。じつは数千年という月日の中『美とは何か?』ということがまだわかっていない。美意識というのは、美を意識することで、この美意識には個人個人違いがあります。」
ゆるキャラ「せんとくん」と山田さんのツーショット画像を見ながら「せんとくんを見てこの彫刻・造形は、かわいいまたは美しいと思いますか?」という質問に、参加者の男性は「少しリアルで、かわいくないです。」と回答。
山田さんは「ぼくは、何かやっちゃった感と、自分の息子に似ているということで、めちゃめちゃかわいい」とコメント。なるほど、同じものを見ても違う感覚を持ちますね。
また、谷川俊太郎作「朝のリレー」という詩が朗読され、個々が受け取る感覚の違いを体感。
「つまり、個人の経験や知識、感覚、精神によって『美』が大きく異なってくる場合もあります。」と山田さん。
「せんとくんの造形を見た時、朝のリレーの世界観をゆっくり感じた時、少し心がざわっとしたと思います。それがワクワク認識モードが動いた瞬間なんです。」
美しい建築物や神秘的な自然現象を見て、心を動かされる瞬間というのは、まず深層心理で内在的な「美意識」が働き、 その後に「美しい!」とか「感動した!」とかといった感覚的、または精神的な答えを出しているそうです。
それは、美意識がクリエイティビティを生み出すからです。
クリエイティブをゴールとした場合、普段の暮らしの中で見たり感じたりする正しいことや善いこと、美しいもの、ときには悪いことや不快なもの、これらをワクワク認識モードで見て、感じ、吸収していくと、それが感性として育まれ、これを繰り返すことで感性はより高度な状態へと昇華していきます。
その後、自然とその流れがクリエイティブな活動に発展したりします。
ときに意識的にクリエイティブな活動をした時でも、アウトプットをする上でのヒントや気づきを多く生み出してくれます。
「ワクワク認識モード」の質が良ければ良いほど吸収量が増え、感性が大きく育まれていくということでした。
ちなみにクリエイティブとは、それぞれが離れている知識と体験のかたまりのようなものを、つなげることだそうです。
では、どのようにして「美意識 = ワクワク認識モード」の質を高めるのでしょうか?
そこで今回のワークショップで行われたのが、「ビジュアルシンキングストラテジー(VTS)」という手法でした。
【ワークショップ編】
ニューヨーク近代美術館MoMAの教育部長フィリップ・ヤノウィン氏が1980年代に開発した、対話による美術鑑賞「ビジュアルシンキングストラテジー(VTS)」(※鑑賞者同士のコミュニケーションを通して、美術作品を読み解いていく)という手法を用いて、ワークショップが始まりました!
はい、こちらはあの有名な「風神雷神図屏風」!これを題材にして「率直に感じること、思うことは?」を、2分間で各自が考え発表します。
このあと、STEP2で「今どういう状況で、この後どうなる?その根拠は?」、STEP3「物語をつくりましょう」という流れで、参加者全員でこの絵を見て感じることを言語化していきました。
「白い鬼と緑の鬼が、筋トレ自慢をしている様子」、「じゃんけんをして、何か楽しいことをやろうとしている」など、いろいろな発言が飛び交い、それぞれが持つ「美意識」が何ものにも邪魔をされず、自由にのびのびと言語化表現されていました!
さらに「どこからそう思ったか?」その根拠をロジカルに探る作業がなんとも楽しい!
STEP1で感じたことと、STEP2と3で感じてできた物語を比べるとその違いは一目瞭然。
簡単な質問を自らに投げかけることで、視点が全く異なり、さらに絵の世界が広がりました。
ワークショップ後半では、数名のグループに分かれ、いろいろな洋画や写真を鑑賞し、グループ内で同じように「何を感じたか?」「この後どうなる?」などについて語りました。
「美意識」を意識したコミュニケーションを楽しみ、みなさんとても充実した時間を共有できました。またこの体験によって「美術館での過ごし方が変わる!」と確信した方も多かったようです。
【あとがき】
今回のthinc!#5では、「アートとデザインの違い」や「美意識」について学びを深めることができました。ワークショップで自由な発想で自分が感じたことを言語化することが楽しかったです!
「美」を意識すること、何かを見て、感じて、言語化するという経験を積み重ねることは、自己表現力やコミュニケーション力の向上につながると実感!
こどもの頃からこういうことに触れると、感性が磨かれてとてもいいなと思いました!わが子にも実践してみたいと思いました!
【次回「thinc!#6」の予告】
5/1からスタートした「令和」時代!このタイミングで、さっそくですが次回thinc#6のご案内です!
スピーカーは、平成30年度ミスユニバースジャパン長崎代表の池田愛実(いけだ・まなみ)さんで、「応援される存在になる」をテーマにした内容です!
日時は5月24日(金)19:00~予定。詳細がわかり次第、facebookのイベント告知でお知らせしますので、最新情報をどうぞお見逃しなく!
https://www.facebook.com/varygoodnagasaki/
【お知らせ】
今回講師をされた山田健太さんが、「あらゆる課題解決に挑むための新たな視点と思考を鍛える デザイナー学習プログラム(モニター)」を開催されます!
主に、グラフィック、WEBデザインなど視覚伝達領域で活動するデザイナーを対象にした、短期学習モニタープログラム。実践的な課題をこなしながらデザインのテクニックとマインドを学ぶ内容になっています。
日時:5/18 ・ 5/25 ・ 6/8 ・ 6/22 ・ 7/13 ・ 7/27 ・ 8/10 ・ 8/24
4ヶ月間(月2回・第2と第4の土曜日)
時間:各日約2時間(スタート時間は締切後受講者と相談の上決定)
場所:株式会社西海クリエイティブカンパニー 本社(予定)
851-3305 長崎県西海市西彼町喰場郷1686-3(第1と第3土曜日は2時間スペース開放)
料金:5月〜8月の無料カリキュラムはモニターのため無料(10月から有料コンテンツを計画中)
※カリキュラムによって教材費用がかかる場合があります
対象:デザイナーとして独立を望む人または、現役の若手デザイナー。
定員:3名(ぐらい)
主催:デザインヤマダケンタ / 協力:ばりぐっど
メールアドレス:designyamadakenta@gmail.com
デザインヤマダケンタ
申込締切:5/7( 23:59)
必要資料:申込締切までに志望理由、無料カリキュラム終了後の目標(2,000字程度)を提出してください
求めるレベル:現時点では初心者でもかまわない(制作のためのAdobe Creative Cloud環境は必要です)