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《ウエストのおんな『空一面のいわし雲』第10話》~11月だよ七五三!~

知ってます?

11月7日『立冬』だったってこと。

「あら!」

 

『冬』よ冬!! 暦の上ではもう『冬』! 確かにもう11月。でもそれを感じさせないこの気候!

 

おかげで職場のハウスの中はそれはそれはいい感じに蒸らされて、私の脇もそれはそれは蒸らされて

 

汗だっくり。 脇汗だっくり。

 

いやぁ、まだまだハウスの中は『夏』である。

 

私の脇に爽やかな風が吹くのはいつのことになるのやら・・・。

 

仕事帰りにウエストに寄っても、まだまだ『おでん』の材料を買う気にはなれない私である。

 

さて11月と言えば、『七五三』ではないだろうか。

我が家の三人の子ども達も、その昔『七五三』を無事迎えた。

 

上二人は男子だったので、かっちょいいコムサのスーツを実家の大蔵省(え?もう言わない?)が買ってくれた。当時『コムサデモード』と言えば、百貨店『浜屋』でしか買えないハイブランドでお値段もお高く、とても自分では買えないお品物であった。

 

あまりにももったいなさ過ぎて、出し惜しみ、着せ惜しみ。気付いた時にはすっかりサイズアウトでアレ?もう着れないじゃん!という貧乏性あるあるに陥る。今になってはガンガン着せとけばよかったと後悔先に立たず。

 

娘については三歳の時も七歳の時も、もちろん実家の大蔵省がかわいい着物を作ってくれたので、ありがたく頂戴したのであった。

 

大蔵省サマサマである。

七五三は男児は三歳、五歳で。女児は三歳、七歳でお祝いするもので我が家も子ども達の成長をお祝いしてきた。

 

なぜか親の私たちよりも、実家の大蔵省・・・いや実家の父母、子ども達からすれば祖父祖母の方が相当気合いが入り、早い時期からその衣装についてのご相談があった。

 

子ども達の七五三用衣装を買って下さるとのこと。

 

『財布のひもが緩む』とよく言うが、うちの父母に関しては

 

『金庫の鍵がぶち壊れる』

 

と言った方が正しい気がする。いやいや重ね重ねありがたやありがたやである。

そしてやはり、七五三の記念のお写真はマスト。

 

記念のお写真と言ったらあの『子ども専門写真館』に行くしかない!

 

長男が三歳の時も、次男が三歳の時も、三歳児といえばまだまだ宇宙人的要素でパンパンの彼らなので、素直に写真を撮らせてくれるのか心配であったが、こちらの不安をよそに思いのほかお行儀が良く、カメラマンのお姉さんも巧みに宇宙人の気を引きながら上手く撮ってくれた。

 

おかげ様で我が家の息子たちは、最高にかわゆくアルバムに納まったのである。

 

しかーーし! 一人問題児現る!

娘である! この娘が最終にして最強の暴れ馬であった。

 

二学年ずつ年が違う我が家の三人の子どもらは、どこかしらのどこかしらでダブることになる。長男と次男がダブった時は、何の問題も無くすんなりと神社でのお参りも、記念の写真撮影もできたのに、この娘ときたら・・・。

 

次男五歳、娘三歳で七五三の写真をあの『子ども専門写真館』に再び前撮りをお願いしに行った時、事件は起きた。

 

ニコニコの超ご機嫌でスタジオに入り、三歳児宇宙人の訳の分からないハイテンション大爆発の中、スタッフのお姉さんたちは淡々と撮影の準備をする。

 

さすが慣れていらっしゃる!

 

感心しながら持参して来た実家の大蔵省が買ってくれたピンクのカワイイ着物を、さて「着るよ」と娘に言った瞬間、娘は宇宙人から怪獣に変化?進化?したのであった。

 

もう『怪獣』だから手が付けられねーー(泣)

着物の何がそんなにイヤなのか、泣いて叫んで逃げ回る娘をスタッフのお姉さんと旦那と私でなんとかなだめて落ち着かせようとするが、チビ怪獣に打つ手なし。

 

『こんな怪獣初めて!』と口では言わないが顔にしっかり出てしまっているスタッフのお姉さん。

 

その間、5歳児の次男は一人、隣りの撮影エリアで写真を撮ってもらっていた。次男の撮影が終わり、スライドで見せてもらうと

 

なんとも切ない表情の次男が写っていた。

きっと彼は一人で戦っていたに違いない。(涙)

 

隣りでわめき散らかしながら逃げ回るチビ怪獣を、大の大人が数人でご機嫌取りをしながら追いかけまわしているというカオス。

 

そんな中、彼はどんな思いで撮影に臨んでいたのだろうか・・・。

 

結局その日せっかくの晴れ着を着ることはなく、なぜか思いっきり普段着のまま、その日一番のスペシャルな笑顔でカメラに納まった娘。

 

スペシャルな笑顔で写った写真がスライドで映されると、なんだかなぁ。買わない訳にはいかない。

 

普段着の写真とか家に腐るほどあるのにさ(泣)

 

そう思いながらも普段着の娘の写真をやはり「お願いします」と言って注文した私である。

 

数週間後、立派なアルバムに仕上げられた七五三の写真が我が家に送られて来た。

 

切ない顔の次男と、スペシャル笑顔の普段着姿の娘。

今でもこの写真を見るとあの日の惨劇が昨日のことの様に思い出され、なかなか笑いが止まらない私なのである。

 

今年七五三をお迎えするみなさん、どうぞ健やかに大きくなぁれ❤

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