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【ウエストのおんな~赤とんぼと秋の黄昏刻~第2話】<ヒエラルキー>

『馬肥ゆる、住子も肥ゆる秋の空』

サラリと川柳を詠んでみたくなる今日この頃。

私はアラフィフパート主婦の海近住子(うみちかすみこ)、西彼在住である。

 

ああ 空が高い

 

秋よねぇ・・・

 

そう、夏のあいだはずっとお風呂ではなくシャワーでその日の汗を流していたのだが、秋の声を聞いてからは、そろそろシャワーでは肌寒くなってきた。

 

そんな9月のある日

「今日は寒かけん風呂ば入れよ~や」と旦那が言った。

 

はっはっはっは!

我が家では言ったもんが即行動じゃ!

 

言いましたね?あなた今『風呂入りたい』っていいましたね?

 

どーぞどーぞ!お風呂洗ってください。

言ったもんの旦那がお風呂掃除に行った。

 

そして事件は起こってしまった!

 

次男は仕事から帰ってきてすぐシャワーを浴びていたので、お風呂に入るのは私と風呂掃除をしてくれた旦那の2人。

浴槽にお湯を入れてから、うだうだとテレビを見たりうたた寝したりしてたら、これまたソファーに横になってうだうだしている旦那から

「先に入ってよかぞ」

 

と言われた。言ってくれるのはありがたいのだが、私はまだうだうだし足りなかったので

『満足するまでうだうださせてくれ』と無言の抵抗をしてみた。

うだうだの争奪戦である。

 

しかし、もしこのままうだうだやりちらかして、お風呂に入るタイミングを逃してしまうとせっかくの湯船に浸かることができなくなる!

そう思いなおし、旦那より先に入ることにした。

 

「うふぃ~~ やっぱ風呂いいわ~」

シャワーならちょっと寒いので、さっさと洗ってさっさと出るのだが、なんせ今日はお風呂である。

ゆっくりとお湯につかると身体も温まる。

身体が温まれば湯船の外に出ていても寒くない。

「どら、ちょっとタイルでも磨いてみようかね」

 

などといきなり浴室の掃除が始まったりする。

いつもはシャワーで流すところ、今日は湯船になみなみとお湯が入っているではないか。

 

自分を洗いまくった後、浴室のタイル磨きにもざっぱんざっぱん惜しげもなくお湯を使う贅沢。

 

あら私、上手に残り湯のリサイクルができたわ

 

浴槽の栓をスポポーーンと抜き、意気揚々とリビングに戻ると

少々『華麗な臭い』を放つ、お風呂に入りたくてお風呂を洗った人がソファーで横になっていた。

なんでこの人は『華麗な臭い』を放っているんだ??

お風呂入ったろうに。

 

「おい、まだ風呂入っとら~ん」

と悲しげな声。

うっそ? そうでしたっけ?

 

30分ほど前の記憶がございません。

 

「もうよかです。今日はこのまま寝ますけんよかです」

少々ひがみが入ってしまったご様子。

 

お湯を流してしまった制裁は十分受けます。

『華麗な臭い』をとなりで感じつつ、一晩寝ます。

 

しかし、お風呂に入りたくて浴槽を洗ったにもかかわらず、お湯を流されてしまい入ることができなかったのに、なぜ旦那は文句も言わないのか。

 

それは我が家のヒエラルキーにある。

 

簡単に言うと家庭内における上下関係ということだ。

現在3人暮らしなので、表に表すとこうなる。

しかしこれに娘が加わると、このように変化する。

長男も入れるとすれば、私にとって長男の存在は、もう宇宙空間にあるようなものなので、大体このあたりではないかと思う。

 

旦那はこの底辺からなかなか脱出ができない・・・。

 

このヒエラルキー みなさんのお宅ではいかがだろうか?

一家の主は頂点に君臨しているか、それとも底辺に甘んじているか。

 

底辺といっても、我が屋の場合は見てくれがそうなだけで、我が家を守ってくれているのはやはり父であり、夫であり、一家の大黒柱である『華麗な臭い』のする旦那なのだ。

 

広い広い心の持ち主の旦那はこれから先も、きっと定位置である底辺で家族を支えていってくれるのだろう。

 

いや~、落としまくってからのよいしょ!

私って、ころがすの上手くね?

 

この調子なら娘がいない限り、ヒエラルキーの頂点は私で決まりである。

 

そんな家族思いな旦那さんにウエストでビールを買ってきたよ

 

味わってください感謝のビール! え? これビールじゃないの? 最近色々種類があるのね~!

次回は第三話「悲しきデパート」

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