仕事帰り、いつものようにウエストで買い物して外に出ると「おってと! 辺りはすっかり真っ暗じゃないか!」と、いう季節になりました。

ワタクシ、西彼在住のアラフィフパート主婦『海近住子』と申します。

 

ぶはははははは!

私はめでたく2日前、48歳の誕生日を迎えたのだ。

私の誕生日ということは、末っ子娘の誕生日でもある。

 

そう、私と娘は誕生日が同じなのだ。

 

まだ娘が生まれる前の4人家族の時、今の家ではなくアパートに借り暮らしをしていた訳だが、その頃の私は俗にいう『懸賞マニア』として名をはせていた。

 

週の半分は何かしらの当選品が我が家へ送られてきたものである。

 

そんなときに娘を授かった。

いやそのときはまだ性別はわからなかったが、長男、次男と『 男』のリーチがかかった海近家なので、性別がわかるまでちょっとだけバクバク。

 

どちらでもいい!元気なら男の子でも女の子でも!

とか言いながら、でもできれば団子三兄弟より『一姫(いちひめ)』が欲しい…。

 

つい私は、私の中の『懸賞の神』に「もう懸賞には当たらなくていいから女の子が欲しいです!」と悪魔の取り引きを行なったのだ。

『懸賞の神』は私の願いを聞き入れ、これから先の私の『懸賞の運』と引き換えに、新しい命を『女の子』にしてくれたのである。

 

それも予定日より2週間も早く、私と同じ誕生日に慌てて生まれて来てくれたというサプライズ付き。

 

自分で自分に誕生日プレゼントしたわ。みたいな。

 

おかげ様で、それからほんっとうに懸賞に当たるどころか、全くかすりもしなくなった。

 

娘も旦那と私のいいところを全て受け継いだ感じで、なんかゴメンみたいな。

 

いつだったか娘が、自分の身なりや容姿にさほど興味が無くあまりにも無頓着な次男坊に

 

「ねぇ!アタシ兄ちゃんくらい恵まれとったら、それ無駄にするような事、絶対せんけど!!」

と、胸ぐらを掴む勢いで叫んでいたことがあったが

 

私は心の中で

「兄ちゃんも、言うほど恵まれてはないぞ」

とつぶやいたのであった。

 

まぁ 運命とはそういうもので、どうにか自分の力で道を切り開いて行っておくれとしか母は言えないのである。

 

しかし、

どうせなら、サラサラな髪の毛か、細い脚か、なで肩か、高身長か、どれか一つでも娘に与えて欲しかったよね。

 

私は死ぬまで娘に責められる、という運命を背負ったのですかね?

 

つらい。

というか、『懸賞の神様』へのお願いの仕方が間違ってたのか?

 

『女の子』プラス『サラサラの毛!』とかオプションまでちゃんとお願いしなくちゃいけなかったのか?

 

そうだとしたら、娘よゴメン。

 

私は『忠実な両親のコピーを作ってくれ』とは一言もお願いしたつもりはなかったのだが、『懸賞の神』は気を利かせて、両親の一番いいところを選りすぐって娘に投入してくれたようだ。

 

もう「懸賞の神よありがとう」としか言えない。

 

どうか艶のない髪の毛、太い脚、がっちり肩幅で153㎝のかわいい娘よ、力強く生きていっておくれ。

 

ところで誕生日というと、何年前だったか、生きてきた中で「こんなのはじめて!」というくらいの大雪に見舞われた時があった。

丁度休みの日で雪が降っているが、まぁチラチラしてるくらいだし大丈夫だろうとバースデーケーキを買いに、午後からわざわざ佐世保のケーキ屋さんまで一家総出ではせ参じた。

 

夕方に帰って来たときにはもう西彼は西彼ではなく、どこか遠くの雪国と化していたのだ。

 

そこら中に車が乗り捨てられ、徒歩で帰宅する人達があちこちに見られた。

 

平地の国道でそのありさまなので、山の上に住んでいる海近家はとても帰れる状況ではない。あの坂道を車で上る勇気もないし歩いて帰る根性もない。

 

海近家は帰宅困難ファミリーになってしまった。

 

とにかく一晩しのげる場所を探さなくては!

 

ありましたーー! 

『ビジネスホテルはしもと』

 

海近家の命を救ってくれたのは『ビジネスホテルはしもと』だった。

 

晩ご飯もレストランでご馳走をいただき、家族5人一つの部屋でゴロゴロしながら寝たのを思い出す。

 

なんだかんだで忘れられない誕生日になった。

翌日、支払いを泣きながらした、忘れられない誕生日。

雪予報の時はむやみな外出は避けましょうと心に誓った誕生日。

記録的にも記憶的にもダントツに残る誕生日。

 

あらやだこんな時間だわ!買い物買い物!

今すぐ ウエストにレッツラゴーー!

 

お鍋食べたいのに葉もの野菜が高いのよ!

白菜買うか買わないかしばらく考えさせて!

☆気になる【ウエストのおんな〜北風と手ぶくろと私〜第9話】はこちらから