海近住子(うみちかすみこ)47歳!
西彼に住む『更の年期』がチラチラ顔を出すお年頃のアラフィフパート主婦である。
7月25日 何の日だったか覚えているだろうか?
ピンポーン! 土用の丑の日!
いや~知っておりましたよ。ずっとテレビとかのCMで言ってたからね。
でもね~ 海近家としては『丑の日だから是非ともウナギを食しなければならん!』とは決して思わないのだ。
海近家というか私が。
だいたいウナギというものは、・・・
夏のとある日に家族で実家に行きました~、父に母~、こういう時はなぜかニオイをかぎつけて来る妹家族~、姉夫妻はちょっと遠いから・・・ごめんあさ~せ~(汗) で、一族集合!
「夏は力ばつけんばけん、ウナギ食いに行くぞ!」と、久々に家族が揃ってご機嫌になった父の一声が高らかに響くと「待ってました!」とばかりにハイエナどもがワラワラと父に群がるのである。
腰を低く、へ~こらしながら父と大蔵省の母を丁寧に丁寧に店へとお連れする。
そして私も妹も自分の財布には一切痛手を負わず、美味しく『国産ウナギ』をいただく。それが『海近家の正しいウナギの食し方』なのである。
我が家にとって『土用の丑の日』というのは、父が『ウナギ食いに行くぞ!』と言った時がまさに『丑の日』なのだ。
しかし問題がひとつ。まずもって実家にいることが大前提。父の気分が乗った時にその場にいないとウナギにはありつけない。
いつもかつも父の気分がノリノリだとはいえないので我が家の『丑の日』はXデーとなるだ。
いや~、『土用の丑の日』って的を絞るの難しいよね~
え?違うの??
ウナギっておごってもらうものじゃないの??
だってウナギってお高いんでしょ~?
「安っ!」と思って飛びついたパックは『サンマの蒲焼き』だったし。
知ってるわよ!安いお値段設定の中国産ウナギでも1尾のお値段は、海近家1日分の食費とほぼほぼ同じだという事を。
おいおい冗談じゃないぜ!
貧乏性のビンボー神様がチラチラ顔を出して『激おこプンプン丸』だ。
わかっているよ、ビンボー神様。
『ウナギはごちそうしてもらうもの』の海近住子が、自分の財布からお金を出してウナギを買う訳がない!
自分の欲しいモノには糸目をつけない決断力と羽振りの良さには我ながらホレボレするが、事がウナギとなるとキュキューっと財布の紐が固くなる。
ということで、私は1日分の食費と引き換えにウナギをゲットする気は・・・
無い!
1日分の食費をホタリ投げてまで、中国産ウナギ1尾をお買い上げするなんて私には出来んのだ。
まかり間違ってそのウナギをお買い上げして食卓に出したとしたらどうなると思う?
「かーちゃんどーした?」
旦那と次男の青ざめたきょとん顔が目に浮かぶ。
何かよからぬ罠がしかけられてるのではないかと、2人で「どーぞどーぞ」と譲り合い。どうも食が進まない。
「失礼な!毒は盛ってねーよ!」
確かに食卓に並ぶはずのない『それ』がテーブルの真ん中にあったら、そりゃ稲川淳二の怪談聞くくらいの恐怖かもしれない。
しまったなぁ 暑いこの時期『納涼恐怖ウナギ大会』が開催できたのに・・・。まぁウナギを買えたらの話しだけど。
え?なんと? 今年の夏はもう1回『土用の丑の日』がある?
ほほう・・・8月6日、やってみますか『納涼恐怖ウナギ大会』!
「しもしも~ お父さん? 帰りにさ~ウエストで『ウナギ』買うてきてくれ~ん?土用の丑の日らしか~」
まぁ旦那が買ってきたら『恐怖大会』にはならないが、やっぱり『ウナギ』には財布の紐がキュキューっとなる住子は、結局自分の財布に痛手を負う様なことはしないのである。