こんにちは!ばりぐっど 編集部のめーたんです。

みなさんがお住いの地域に、伝統的な「祭り」ってありますか?「祭り」とは、その土地に祀られた神社で五穀豊穣や無病息災などの祈願し、供物や芸などを奉納する儀式のこと。

8月25日(日)に西彼町上岳郷にある上岳(かみだけ)神社で、伝統的なお祭り「八朔(はっさく)祭り」が開催されました。

 

令和元年の今年「八朔祭150周年記念」を迎えるいうことで、さっそく取材してきました!

 

上岳神社と八朔祭り

明治3年(1870年)に藩政時代の住吉大明神が「上岳神社」に改称され、以来「八朔(はっさく)祭り」が今日まで継承され、昭和46年(1971年)に町の無形民俗文化財に指定されました。

 

戦前には盛んだった祭りも、費用の問題や若者の担い手不足などで祭礼が途絶えたことも。その際、疫病の流行や大雨による大明寺川の氾濫が起きるなど、「神の怒りに触れたのでは?」という危惧感から、八朔の祭礼が復活しました。

 

 

地域の大人と子どもが一緒に参加

八朔祭りでは、最初に関係者の「お祓い」、神輿や様々な役の人たちで構成される行列が郷内を練り歩く「遷宮(せんぐう)」「奉納こども相撲」「餅まき」が行われます。

 

お祓い

八朔祭りに参加する関係者は、まず神前でお祓いを受けます。

 

遷宮打ち出しと行列

遷宮とは神殿から御神体を異なる本殿へ移すこと。

神殿から外へ神輿が担ぎ出されました!長年受け継がれている立派な神輿ですね。

 

 

なぎなたの演舞が披露され、行列が出発しました!

 

 

お下りの様子です。今年は、上岳神社からバイオパーク付近まで行き、「いきいき交流館」で休憩した後、神社へ戻ってくるルートで郷内を練り歩きました。

 

 

いきいき交流館での休憩の様子です。テントの下では飲み物が配られ、参加者のみなさんは水分補給をしていました。

 

 

こちらは、踊りと鉦叩きをする小学生の女子です。色鮮やかな浴衣と髪飾り、ほんのり紅をさして、とても可愛らしいですね!両脇は指導をされている先生たちです。

 

 

この遷宮行列は「上岳浮立」とも呼ばれ、神輿、槍持地、刀持ち、毛槍、笛、大太鼓や、こどもたちによる小太鼓、鉦打ち、なぎなた持ちで構成されます。

 

 

お上りの様子です。威勢のいいかけ声とともに、独特の動きで前へ進みます。大太鼓、小太鼓、鉦の音がだんだん大きくなり、行列が近づいてきますよ!

 

 

神輿が神社の階段を登ります!

 

 

鳥居をくぐって神社へ。

 

 

戻ってきた遷宮行列は神社を3周します。

 

 

歩きながら笛を吹き、祭りのメロディを奏でています。女性の奏者もいますね!

 

 

小学生たちが小太鼓を背中に担ぎ、交代で叩きます。かなり重そうですよ!ガンバレ!

 

鉦叩きの女の子たちは、扇子と木槌をくるくると回して踊りながら、交代で鉦を叩きます。

 

 

神輿は無事に神殿へ帰着しました。

 

八朔祭典神事

午後からは神事が行われ、祝詞と巫女さんによる舞の奉納が行われました。独特の音楽とゆったりとした舞を見ていると厳かな気持ちになります。

 

 

奉納こども相撲

いよいよ、こどもたちが楽しみにしていた相撲大会です!

神社の敷地内にある土俵です。当日の朝早くから整備が行われた土俵の中央には、おがくずの山に軍配が納めてあります。

土俵の両端には、わらで作られた舟形に塩が入っています。全て手作業で準備されたそうです。

 

 

出場するこども力士たちは、行司と一緒に神前とお客さんへ一礼。今年は小学1年生から中学1年生まで、21名の子どもたちが参加しました!

 

各学年ごとに並んで、東西に分かれて座ります。観客のみなさんも毎年この「奉納相撲」を楽しみにしているそうですよ!

全部で33番の勝負。

こちらは3年生同士の対決です!「はっけよーい、のこった!!」

 

 

勢いのあるぶつかりあい、しっかりした取り組みで、まさに手に汗握る接戦!観客のみなさんも歓声と拍手で盛り上がり、時には笑いあふれる奉納相撲を楽しんでいました!

 

 

祝い餅まき

さあ!こちらもみなさんが楽しみにしている「餅まき」です。

関係者のみなさんが袋に入った紅白の丸餅をまきます。向かって右奥には杉澤西海市市長の姿も!

 

 

たくさん餅を受け取ろうと、直前まで入念に場所を選び、袋を広げてイメージトレーニングをする人も。餅まきが始まった途端に大人も子どもも、降ってくる餅を拾いまくる!ちびっこたちはもちろん、年配の方も楽しんでいました。

童心に返って無邪気に楽しむことって大事ですね!

 

 

関係者の方々にお話を伺いました

 

こどもイコール地域の発展

上岳神社総代 一瀬昭(いちのせ・あきら)さん

小学校4年生の頃から八朔の遷宮に関わり、およそ50年という一瀬さん。当時は、その家系の長男または長女で、地域に残る人にしか祭りのお世話などを任せてもらえなかったそうです。

今では、決まった年数ごとに交代をしながら、伝統を守っています。「こども=地域の発展、これからも伝統的なお祭りが後世に受け継がれていって欲しい」とおっしゃっていました。

 

 

工夫をしながら、祭りを継続していく

上岳郷区長 永山巧(ながやま・たくみ)さん

上岳郷にある12分区の区長を務める永山さんは、八朔祭りについて「次の世代へ繋いでいくことが私たちの使命」と笑顔でコメント。昨年の八朔祭りが終了した翌日から、次の祭りに向けて準備を始めたそうです。

神輿を担ぐことが大変になってきたので、神輿を乗せて運ぶ台車を発注・作成し、今年から使い始めました。次は大太鼓の台車も作る予定だそうです。「進む高齢化に対応すべく、工夫をしながら祭りを継続していくことも大切」と、無事に150周年記念祭を終え、ほっとした表情でお話されていました。

 

 

これからも伝統を継続してほしい

芸能保存会会長 田崎義憲(たさき・よしのり)さん

戦時中に途切れたこともあったという八朔祭り。先輩たちが途切れさせてはいけないと、復活させたそうです。若い頃に、親から誘われて参加し始めてからおよそ50年ほど祭りに関わり続けているとのこと。当時はもっと人が多く、出店も多くあり賑わっていましたが、今は関係者と家族ぐらいの規模に。

「今年は子どもの練習日が一番少なかったですが、みんなよくがんばっていました。これからも八朔祭りを継続していって欲しいです」と笑顔で語ってくれました。

 

あとがき

秋雨前線が停滞する中、この日1日だけ奇跡的に雨が上がり、すべての行事が無事に執り行われました。祀られている神様も大変喜ばれたことでしょう!

昨今、日本では人口減少や高齢化が進む中で、地域に受け継がれる伝統行事の存続が難しくなっていると言われています。

そういった現状を踏まえて、いかに「祭り」を続けていくか、時代に合った工夫を考え行動する大人たち、祭りに子どもたちを参加させるご家庭の親御さんたちの協力をはじめ、練習を重ねて祭りに参加する大人や子どもなど、今回の取材を通して、多くの人が関わり合いながら、地域が一体となって伝統と文化を受け継いでいるということがわかりました。

西海市内に残る各地域の伝統的なお祭り、大切にしていきたいですね。

取材にご協力してくださったみなさま、どうもありがとうございました!