こんにちは!梅雨明けて暑くなりましたね。青空が好きなベーヤンです。

そんな暑さにも負けない、西海市の加工グループの活動に参加してきました。

 

西彼町の『花ばたけ』・西海町の『天久保生活研究グループ」・大島町の『大島「SOY-ne」』・大瀬戸町の『雪浦加工グループ』『松島農産加工所』『多比良加工所』の6ヶ所のグループ。

いつもは、それぞれに自慢の加工品を作って販売しているのですが、長崎市の3ヶ所の加工グループと一緒に『長崎西彼生活研究グループ連合会』を結成しています。

 

年に数回集まり、情報交換や新製品の試食など、地域を越えて親睦を深めてきました。その中の活動の一つに、消費者の方々との交流と郷土料理の伝承があります。

 

今回は大瀬戸町コミュニティセンターにて、新聞で募集した消費者の方々と料理教室を開催しました。

献立は『からべ煮しめ』と『ところてん』

 

『からべ煮しめ』は西彼杵半島の郷土料理で、冠婚葬祭や地域のイベントにかかせない家庭の味です。今回は連合会会長でもあり、長崎市の匠に認定されている煮物名人川口さん(外海町)の味を教えてもらいます。

たっぷりのイリコ出汁で、タケノコ・ジャガイモ・カボチャを別々の鍋で、人参・ゴボウ・こんぶ・厚揚げ・コンニャクはまとめてひとつの鍋で煮ます。

 

醤油を入れます。ドボドボ……!

ここで大切なのは、材料によって切らずに丸ごと煮る。そうして、もう一つ大切なのは、調味料は大体このくらいの『経験量』なのです。

「基本はあるんだけど、うちじゃ計らんとさ~」ベテランの舌と経験が受け継がれています。

 

なので「味見」が欠かせません。

砂糖だって……「このぐらいかね?」「もっと入れてよかよ~」

お母さんの味つけは目分量なのです。

材料によって、甘めにしたり、醤油を薄口や濃口に変えたりします。

参加者たちは自分の舌でたしかめながら覚えます。

 

手のひらの上で、綺麗にお豆腐を切るコツも教え合います。

手際よく味噌汁やおにぎりも作ります。

 

コトコト煮て味が染みたら、しっかりと汁気を切ります。人参もゴボウもこの通り丸ごとです。

これを食べやすく切って盛りつけます。

『からべ』とは、“ひからびる”という意味で煮えたら汁気を切るからでは、と言われています。大瀬戸雪浦では「ひらき煮しめ」西海町天久保では「あげ煮しめ」と地域の呼び名があるそう。

 

彩もよく、煮くずれもなくきれいです。

 

 

そして、もう一品夏にうれしい『ところてん』

天草(テングサ)という海藻を、洗っては干し、また洗っては干しと、数回繰り返して白くさらします。

水に浸しておいたところてんを火にかけ、沸騰したら少量のお酢を加えさらに煮るのですが、もち米を加えるのが主婦の知恵。

長崎のところてんは透明感があり、のど越しや舌触りもツルツルととても良いのはこんな知恵があってのことかもしれません。

 

煮詰まってきたら熱いうちに布でこし、トレーに流し入れて冷やし固めます。

こんなに手間ひまかかるものだったんですね!

ところてんは夏のうれしいおもてなしでもあり、初盆にはかかせない郷土料理の一つだそうで、これを各家々でしていたとは。ありがたいことです。

 

実際に、ところてんを細くする『ところてん突き』は、初体験の方も多くてこの作業は大人気。

 

この日の『ところてん突き』は、前日にメンバーが用意してくれたもので体験しました。

「おもしろかね~」「道具によって、すこーし大きさ違うことよ~」

 

 

いよいよ試食と交流会「いただきます!」

別々に煮たのに、こうしていただくととても良いバランスなのに驚きます。

 

こんな太さも手作りならではのご愛嬌。

つるつるとのど越しのいい、冷たいところてんは暑い季節のごちそうです。

 

長崎から参加してくれた方は、川口さんの味の大ファン。

「実際に作り方をみられて良かった」と満足していただけました。

 

 

参加者たちの感想は「厚揚げに味が染み込むコツや切り方など、知らなかったことがわかって嬉しい」

「昔は子どもには作っていたけど、だんだん面倒でダンナには作らなかった。今年は作ってみたい」

「初盆なので、ところてん挑戦しょうかなー」と意欲的でした。

先輩主婦からのアドバイスがもらえるのも、こんなほのぼのした教室の良さです。

 

 

川口さんの味付けは、煮あがりの味を分かっているからこそできる家庭の味。

これこそが郷土料理の良さなのです。

 

煮物の煮汁も捨てずに、「帰ってこれで家族にコンニャク煮ます」と持ち帰った方も。それほどおいしくできた味でした。

西海市の各加工所のメンバーに連絡すれば、こんな料理教室ができますよ。

ふるさとの味が、こうして受け継がれて行くとうれしいです。