「いいものを育て、カタチにしたい」西海市で始める新しい暮らし

2017年8月、西海市へIターンし「つむぎ農園」を営む、宮崎県日向市出身25歳の田中はるなさん。

移住して6ヶ月の今、彼女の目には西海市がどんなふうに映っているのでしょうか。

ばりぐっど編集部の西海うずがインタビューしてきました。

畑仕事をする田中春菜さん

新規就農を西海市で始めたワケ

厳しい大地に根を下ろし、雨の日も風の日も、

たとえ嵐の日でも、

自らに力をめぐらせながら、

生き生きと四季を乗り越えていくその姿は、

私をいつも勇気付けてくれます。

 

高校を卒業後に起きた東日本大震災。日々の暮らしと意識・価値観に大きな影響をうけた私は、社会との関わりに戸惑い覚えはじめます。

ふるさと宮崎を離れ、中部、関東、スペインなどさまざまな場所での暮らしを経験し、その所々で暮らし方や働き方を見つめ直していきました。

 

ある時、私と社会をシンプルにつなぐのは「農」であり、それが私にとってちょうど良い暮らしをもたらしてくれるかもしれない。

そうであるならば、その体現活動を同じ悩みもつ人に伝えるべきなのではないか。と思うようになります。

 

その後、以前から関心のあった「有機栽培の野菜づくり」を実現することにしました。

 

福岡県筑紫野市で有機農業を一年研修した後、移住相談会で西海市を知ります。

極端に人口や住宅の少ない地域での暮らしを経験した私にとって、西海市は“ほどよい田舎”でした。

 

ですからそこへの不便や不安は何も感じていません。強いて言うならば、気兼ねなく地元の人とコミュニケーションがとれる生活をスタートできるかでした。

なぜなら、交流人口の少ない地域ではよそ者に関心を示さない場所が多くあるのも現実だからです。

 

農業用一輪車を押す田中春菜さん

野菜と地域との関わりをゆっくり深める今

移住は地域の受け皿体制はもちろん、リアルな情報がとても重要です。

今回の場合は福岡にいながらにして、移住地の有力者と素早く繋がることができ安心することができました。

さらにその方からの紹介で、家や土地にも巡り会えたのです。

 

移住し就農して6ヶ月。

懸念していたコミュニケーションも広がり、たくさんの人たちに寄り添われながら、少しずつ理想の暮らしをスタートしています。

 

ここでの暮らしの魅力一つは、貨幣経済だけではなく、自給、物々交換などの経済が存在するとこ。

お金は「労働の対価として手にするもの」と思いがちですが、「自分の存在を明日へつなげるためもの」捉えると、必ずしもそれが貨幣である必要がないことに気づきます。

 

もう一つの魅力は、穏やかな風土と人が織りなす、心地よい関係性と文化。

この土地には、短絡的な焦りや急ぎはなく、かといって気持ちを切らず緩むことのない独自の世界があるように思います。

 

こういった世界で私は今、

週の3分の1はカフェのアルバイトに携わり、地域とのつながりを広めながら、暮らしの抑揚を楽しんでいます。

またゆっくりと野菜づくりと向き合うことができ、その日々に感謝しています。

「農」と「社会とのつながりをつくる仕事」を両立しながら、私らしさをつくっています。

カフェで働く田中春菜さん

今の私が地域のためにできること

私がここで地域のためにできること。

それは、土から離れない暮らしをイキイキと続けることです。

 

西海市で暮らすことのメリットだけでなくデメリットも含め、率直な生の声を発信しながら暮らす。

こうすることで共感する仲間を増やし、土地とともに生きる豊かさを育むと考えています。

 

例えば、地方の移住関連サイト。移住促進のため、その地域のメリットのある情報しか発信されていません。

そうではなく、移住後の生活コストの詳細と顔写真も載せ、リアルに実感してもらうことが大切だと考えています。

そのために自らの生活コストを発信することなど、苦痛ではありません。

 

ちょっとした懸念で移住に二の足を踏んでいる人にとって

西海市で生きる私が、移住後の一つの方法として示せればと思います。

 

まとめ

自らの理想とする暮らしを体現していく田中さん。その姿からはこれからの西海市に必要な生きる豊かさや、新しい価値観を感じました。

 

地域に住む我々は移住促進を行う一方、受け皿整備が遅れています。そのせいで移住がスムーズに行かないケースも多くあるのです。

その責任を受け止め、新しい価値観を無駄にしないよう、課題を早急に解決して行かなくてはなりません。

 

新しい価値観への転換期でもある今、ますます田中さんのような方との交流をいかし、誰もが気兼ねなく訪れ、スムーズに暮らすことのできる場づくりを創造、整備する必要があります。