こんにちは。少しずつあたたかな風が吹き始め、花粉も飛びまくり、すでにお鼻がグズグズの海近住子(うみちかすみこ)西彼在住アラフィフパート主婦でございます。
突然ではありますが、私には人に言えない秘密があります。
その秘密に気付いたのは、私ではなく旦那。
ある日、言いにくそうに旦那が言った。
「わい、夜中に妙な事言うて、宇宙と交信しよるぞ」
「へ?」
旦那によると、私は夜な夜な不思議な言葉を発し、果てしない大宇宙と交信をしているらしい。
「أوه! الكون العظيم أنا هنا」
「تجدني أكثر من بقية الكون」
うむ、相当に怪しげな言葉。
「マジ気持ち悪か~」旦那が言う。
私自身はすっかり深い眠りについているので何のことやらサッパリわからないのだが、毎晩隣りで寝ている私が夜中になると謎の儀式を始めるので、気味が悪くてしょうがないらしいのだ。
うむ、確かに不気味である。
話しによれば、妙な言葉を話すだけではなく、仰向けに寝た状態で両手を天井に向けて突き出し、左右の手のひらをスリスリとさすり合わせているのだそうだ。
うむ、これはもう儀式だな。
この夜中の儀式がいつから始まったのかは旦那も記憶していないようだか、これはきっとそう遠くないうちに『竹取物語』のかぐや姫っぽく、宇宙からお迎えがやって来るのではないかと思う。
完璧に宇宙と交信を行い、いつ宇宙へ帰るかの相談をやっているに違いない!
いやいや~ そうは言っても現段階での宇宙へ里帰りは無理ですわ!
我が家の『自由人三兄妹』の行く末を見届けてからでないと、とてもじゃないが里帰りは到底出来ない。
次男が「自分で払うから」と言って金利手数料ジャパネット負担の36回払いでエアコンを買ったのに、『自分で払う払う詐欺』にまんまと引っ掛かった母が支払いをしているというエアコン代をどうにか耳を揃えて返して欲しいこととか。
バイトとバンドに夢中の花の女子大生の娘がどこに行くにも背中にギターをからっていて『流しのギター弾き』と勘違いされないかとか、学生なのに学業よりバイトを極めているのでいつの間にか『アルバイト』から『店長』まで昇りつめやしないかとかドキドキするので見張りが必要なこととか。
自由過ぎる長男がいまだにフワリフワリと世の中をあちらこちらに浮遊しているので、そろそろその浮遊癖をご卒業いただきまして、地に足を付けてもいいのではありませんかね~?とか思う今日この頃であることとか。
毎日我が家へ通って来るフリーニャンコの『ヤン君』が皆勤賞なみの優秀な通い率なので、そのヤン君のお世話もキッチリとこなさなくてはならないこととか。
ほらほら心配ごとやら、やらなきゃいかんことが多過ぎて喜んでホイホイとUFOに乗って行けないのだ。
なので旦那には申し訳けないが、夜中の儀式は私の意に反して行われているものなので、もし両手をスリスリしながら宇宙との交信を行っていたら、あの『竹取物語』の帝の兵士たちのように身をていしてワタクシを守っていただかねばならない。
ヨロシク!
ヤダ。 私ってば自分が『かぐや姫』だったなんて、いつみんなにカミングアウトすればいいのかしら?
あーだこーだ悩んでいる私の横で旦那が「フフン」と鼻で笑いながら
「昨日は宇宙との交信はしよらんやったけど、夜中『ポテチ』ば食いよったぞ」
・・・え?
どゆことそれーー?ポテチ食ってた~?
私は宇宙との交信に加え、大胆にも布団の中でカリカリとポテチを食べているらしい。
二十歳過ぎた子ども達にさえ「ボロボロすっけんゴミ箱持って食べろ!」とお菓子のボロボロにトコトン厳しい私が布団の中でポテチ~?
・・・いいえ 本当は分かっているのです。
自分がかなりの『歯ぎしりウーマン』であることを。それも右側だけ。
旦那はかわいく『ポテチ』を食べてるとか言ってくれたが、実際のところ岩とか鉄とか何かとてつもなく硬い物を『歯でかみ砕く』くらいの圧でギシギシ言わせてるようです。
なるほど、右エラの筋肉発達の訳はこれか。
どうりでコリンコリンいい筋肉してると思ったわ。それだけ力を込めて噛みしめているってことなのね。
なんかどっちかと言うと、この歯ぎしりで右エラだけ筋肉発達してるって方がちょっと恥ずかしくてカミングアウトしずらいわ。
「てかそれ以上に『宇宙人』て言いよる方が恥ずかしか」
旦那がニヤニヤして言った。
「やっぱり?」
じゃぁ『宇宙と交信』してることも『かぐや姫』だということも『歯ぎしりで右エラがムキムキ』だということも全部ヒミツのままにしておこう。
とりあえず何だかポテチが無性に食べたくなりました。