こんにちは、ばりぐっど編集部のめーたんです。
最近、朝晩涼しくなりましたね。
先日、散歩をしていると地面を覆いかぶさるように繁殖している植物が目に止まりました。
そう、葛(くず)です。
草刈りをしてもすぐに伸び、道路沿いや空き地にわんさか生えて、樹木や草などを覆い尽くして他の植物の成長を妨げるなど、繁殖力がすさまじい植物。
あちこちで見かけますよね。
そんな葛が、じつはくらしに役立つ植物として昔から活用されていたって、みなさんご存知ですか?
葛のおはなし
葛はマメ科のつる性多年草です。
葛の根っこには薬効があって、「葛根湯」として風邪薬に用いられています。
また、お菓子や料理の素材に使われる「葛粉」は、葛の根っこを精製したものです。
茎は農作物の収穫や保存などに使う籠や紐などに使われ、その繊維は衣服の素材としても活用されていました。
それが、時代の変化と共に葛の需要が激減し、今では厄介者扱いされているという、なんだか悲しいですね。
葛の繊維づくり体験会へ!
どうやったら身近な植物をくらしに取り入れられるのか?
西彼町で「葛の繊維作り体験会」があると聞き、さっそく参加してきました!
こちらは、西彼町の森川さんのお宅です。
みなさん、自然と共に循環するくらしを意識しながら、日々楽しいことに取り組んでいるそうです。
今回、宮崎県高千穂で葛の繊維づくりや織りを実践されている、神遊(かみゆう)先生のご指導の元、葛の繊維づくりが行われました!
笑顔が素敵です!
正直、葛から繊維が取れるなんて知らなかったので、どうやって取るんだろうと興味津々で参加しました!
では、作り方を簡単にご紹介しますね。
葛を仕込む
まっすぐに伸びた葛の茎を2~3メートルの長さに切って、葉を落とし、リースのようにまとめてワラで3ヶ所結びます。
大きな鍋にお湯がグラグラ。リース状にした葛を1分半茹でて流水につけて冷まします。
大きめの穴を掘って、カヤ・ワラを敷いて米ぬかをふりかけ、リース状の葛を3束入れます。
そしてカヤ・ワラ・米ぬか・葛の順で重ね入れ、最後にカヤとワラ、土をかぶせて4日〜7日寝かせます。
繊維を取る
あらかじめ発酵させてあった葛から、繊維を取り出しました。
「苧洗い(おあらい)」という作業で、川で葛の表皮を洗い落とします。
西彼町に流れる小川で作業をしながら、あちこちから笑い声が聞こえていました。自然とくらしの風景が調和していて、とても豊かな時間です!
手作業で取り出した葛の繊維を乾燥させます。とても薄いのですぐに乾きました!
糸をつくる
こちらが葛の繊維です。すごいですね!表面はツルツルしていて光沢があります。これを手作業で糸にします。
乾燥した葛の繊維を裂いて、「苧結び(おむすび)」という独特な結び方で糸を結んで行きます。
女性たちが集い、手仕事をしながらおしゃべりをして笑って過ごす。何とも心地のいい安心できる空間でした。
布を織る
原始機織り(自分自身が機織り機になる)という手法で、布を織ります。
自分の体が道具の一部になるので、自分の状態が連動するそうで、姿勢が大事ということでした。
1つ1つ時間はかかりますが、先人たちの知恵と技術が今に受け継がれているって、素晴らしいですよね!
これが葛布だ!
帯状に織られたこの布が、葛布です!
ご覧ください、何とも言えないこの風合い!見た目も触った感じも、しっかりした繊維で長持ちします!
ちなみに、日本最古の葛布は太宰府で出土した古墳時代前期のものだそうです。参照:(大井川葛布公式ホームページ )
さいごに
邪魔者扱いされている葛から、繊維が取れて布になるなんて本当に驚きでした!
手間暇はかかりますが、身近な自然の中にあるものを利用して、くらしに役立つものを自分たちの手で作り出せるんだ!ということを体験でき、忘れていた何か大切なものを思い出させてもらえた気がしました。
大人はもちろん、子どもたちもこういう体験ができると、とても楽しいだろうなと思います!
自然の循環や人のくらし、本当の豊かさについて、さらに自分の在り方を自分に問いかけるいい機会になりました!
葛の体験会で取材にご協力してくださったみなさま、どうもありがとうございました!