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【ウエストのおんな~赤とんぼと秋の黄昏刻~第4話】<妄想アスリート>

『馬肥ゆる、住子も肥ゆる秋の空』

サラリと川柳を詠んでみたくなる今日この頃。

私はアラフィフパート主婦の海近住子(うみちかすみこ)、西彼在住である

 

秋!

 

秋はスポーツの秋!

なんだか私のまわりが騒がしい。

どうも10月に町内の球技大会が行われるらしい。

その練習をやっているようなのだ。

 

ああ なんだか悪夢がよみがえる・・・。

 

そう、あれは何年前のことだったろうか。

まだ20代後半だったか、30代前半だったか。

私も地元地区のお姉さまに声を掛けられ、やったこともない『バレーボール』なるものの選手としてロックオン!

 

「いやいやいやいや バレーボールとかやったことないんですぅ~」

やんわりと断ってみる。

まぁお姉さま達がそんな理由で許してくれるはずもなく、決められた練習日の夜8時に地元の小学校の体育館へ出かけたのだ。

 

なにせやったことないんだから気が進む訳がない!

それより何か事件が起こりゃしないか、ひとりドギマギしていたものだ。

簡単に準備体操をしたり、体育館の中を走ったりして体を慣らしてからボールを使った練習に入って行った。

 

あの~知ってます? 西彼の女の人ってバレーボールやってる方多いんです。

その中にズブの素人が紛れ込んでもいいんでしょうかね?

 

で、すでにここで素人と経験者の差がついている訳だ。

素人にはボールの触り方からレクチャー願いたい!

 

さてレシーブから練習が始まって、まずアンダー。

アンダーならなんとか出来る!

まだ腕がボールの痛さに慣れてないから

ちょっとミミズ腫れになるけど全然大丈夫!

まだ腕がボールの痛さに慣れてないから

腕が真っ赤になって紫の内出血が点々と出ているがそれも平気!

 

問題はオーバーパス!

ほんっとに苦手、何をどうしても苦手。

なんなら両手で『ペシッ』っとはたいていいのなら、はたいてやりたいくらいだ。

そんなことを思いながらやっていると予感的中。

『ゴキッ』

 

なんだか聞き慣れないにぶい音が指から聞こえましたよ?

 

オーバーパス、3回目でやっちまう。

 

左親指の付け根があっという間に腫れあがり、怒ったふぐのようにパンパンになったのである。

 

痛い!非常に痛い! 死ぬくらい痛い! 痛いけど本音ちょっとうれしい。

この心理はバレーボールが出来ない人にだけわかる心の状態なのだ。

 

怪我すれば 堂々と戦線離脱できる!

 

YES!

すぐ病院へ行くこととなり、その場を後にした。

それから何回も球技大会は行われているが私へのお誘いはなくなった。

きっと「あそこの嫁は何っちゃならん!」と、いうことになったのだろう。

 

でも私的には最敬礼するくらいの気持ちで頭を下げたいのである。

『その判断! ズバリ正解です!』って。

 

だって私 もうバレーボールやりたくないですもん。

 

オーバーパス トラウマですもん。

 

また指折りますもん。もうそれ確実ですもん。

やっぱり秋は『見る』スポーツの秋に限りますな!

海近家では、テレビを見ながら妄想の中でみんながプロスポーツ選手に変身!

 

最近の私はよく女子ゴルフの大会に出ていて、結構優勝させてもらってる。

 

はい それ妄想!

 

旦那もこの前グラチャンバレーで、試合してたけど

残念ながら勝てなかった。でも次への課題がわかったよね?

 

はい それ妄想!

次男はソフトバンクの選手なんだけど いや~優勝してうれしかったわ

次はクライマックスシリーズ、これも行けるでしょう!

 

はい それ妄想!

 

運動音痴な私の方が、想像力豊かに妄想を膨らませることに長けているように思える・・・。

 

それ 悲しき長所。

 

とにかく妄想アスリートの私はソファーに寝転がる自分と、テレビの中で真剣に勝負しているプロ選手を重ね合わせて、さも自分が試合をしているような感じになれるプロである。

 

これ 考えたらある意味特殊能力だと思う。

自分とプロをリンクさせるという なんともおこがましい能力。

 

いや~ 運動音痴が追いつめられた先に習得したワザとでもいいましょうか?

 

さて私はまた今度の大会に備えて色々と揃えなくてはならない。

 

ソファーにゴロンとしても手の届く範囲に 大事な『身の回りセット』を用意しとかなくては!

 

とりあえず『ウエスト』で最近はまってる豆乳と1個50円のマロンパイを2個ほどゲット。

 

これで安心して私は大会に出場することができる!

 

はい 妄想は続きま~す!

次回は第五話「長崎くんち」

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